おとなりの人を想う心が繋がって「国境なきマトリョーシカ展」、8/4より神戸・花森書林で開催


 ロシア、ウクライナの民芸品として人気のあるマトリョーシカ。入れ子状になっている3体や5体をずらりと並べると、その愛らしさに心を掴まれる。コロナ前までは土産物としても人気の高かったこのマトリョーシカには、「子孫繁栄」という人類共通の願いが込められているという。

 マトリョーシカに様々な思いを込め、プロ、アマ問わず総勢17組が絵付けしたマトリョーシカが一堂に会する「国境なきマトリョーシカ展」が、8月4日(木)より8月15日(月)まで、神戸の古書店、花森書林にて開催される。



 本展覧会の発起人である神戸出身の画家、高濱浩子さんは、3月、ロシアのウクライナ侵攻というニュースが日増しに報道されはじめたころ、友人、平野陽子さんとロシア出身のパートナーのおふたりのことを思い浮かべ、心配でたまらなかったという。隣人として、心安らぐひとときを一緒に過ごせればという想いから、「一緒にマトリョーシカに絵を描きませんか?」と連絡したことが展示にいたる「最初のひとしずく」だった。

 平野さんと、美術家の鈴木マヤ子さんを講師に、最初は「兵庫区でロシア語&ちょっとウクライナ語教室」を開催。参加者は手作りのロシアのお菓子や、マトリョーシカ・ロシアに関する本、ウクライナの絵本などを持ち寄り、双方の文化を言葉や本で触れる有意義な時間になったという。そして5月に第一回、7月に第二回(写真上)のマトリョーシカ絵付け教室を開催。各自が持ち寄った白木のマトリョーシカに下絵を描き、絵付けをする一方で、展示の相談も重ねてきた。

 会場となる古書店、花森書林は、様々なアーティストの個展を開催するギャラリースペースもあり、神戸のアーティストの個展も多い。高濱さんもその一人だが、今回も高濱さんから絵付け教室の話を聞いた段階で、店主、森本さんから「そのマトリョーシカを店に並べさせていただけませんか?」と声がけしてもらったことが「国境なきマトリョーシカ展」実現への大きな一歩になった。

 遠方からや、ロシアから帰国したご家族の参加と、多くの人が思いを胸に作品を展示するこの「国境なきマトリョーシカ展」。高濱さんは「一粒のしずくがポトリと落ちて、どんどん大きな輪になっていきました。小さなささやかな気持ちなんですが、こうして広がっていくことに希望を感じます」と展示を前にその胸中を語った。おとなりの人を思う心が繋がり、個性豊かな表情をみせるマトリョーシカたちと出会う夏を、花森書林で楽しんでほしい。

(「国境なきマトリョーシカ展」は10月1日〜30日まで神戸市立兵庫図書館にて巡回予定)



国境なきマトリョーシカ展

2022年  8月4日(木)~15日(月)

会場:花森書林

13:00~19:00(最終日~17:00)火・水休み