瞑想し、日替わり店主の風に吹かれて 展覧会「旅する木 髙濱浩子 めぶきのまつり」、ギャラリー島田で開催中


 神戸のハンター坂沿いにあるギャラリー島田にて、4月9日(火)まで展覧会「旅する木 髙濱浩子 めぶきのまつり」が開催中だ。


髙濱浩子さんプロフィール

画家・アーティスト。
1969年神戸生まれ。美術学校で日本画を学んだ後、平面に限らず作品を発表。
1995年 阪神淡路大震災での体験をきっかけに人間とアートについて探求し始める。

2008年 詩人ラビンドラナート・タゴールが開いたインド国立Visva-Bharati Universityに1年留学。ベンガル地方の農村部に暮らしながら先住民の村を訪れ、原始的な営みに息づくアートに興味を持つ。

2011年 外尾悦郎氏(サグラダファミリア贖罪聖堂彫刻家)に学ぶ。

近年は国内外の様々な分野(環境教育、医療、福祉、地域、学校など)でアートワークショップのファシリテーターを務める。活動は、絵画、文筆、ファシリテーターなど多岐に渡るが、全ての核は「絵」である。



 同ギャラリーの地上と地下の3会場を使い、神戸市出身の画家、髙濱浩子さんの今までの作品や活動の全貌を見ることができる本展。髙濱さんの生き方でもある「旅」と、地下から地上につながるラインを木に見立て、地上部分は90年代から現在にいたるまでの変遷をその絵や資料、ライフワークの一つ「旅する切手」シリーズを木の”実や葉っぱ”部分とし、地下部分は昨年末にインドのシャンティニケタンで滞在しながら無心に手で描いたという作品たちが並ぶ。



 3月16日のオープニングには、トーク「痛みを希望に変えるアートってなんだろう?」と題して、トラウマインフォームドケアに取り組んでいる髙濱さん(写真中央)と、NPOアーツプロジェクト代表、四国こどもとおとなの医療センターアートディレクターの森合音さん(写真右)を開催。ギャラリー島田スタッフの林淳子さんが聞き手となり、「生まれ故郷、徳島県美馬市の樹齢1000年の桜の木に会いに行く時との感覚と似ている」という作品の感想(森さん)や、「四方八方ユニバースなんです」という展覧会のコンセプト(髙濱さん)、ふたりがパワフルに活動できる源泉についてなど、通常は瞑想できるような静かな場所として、比較的低い位置に展示されている地下のスペースが熱気で包まれた。



 1階では、旅する切手シリーズが壁面を覆い、海外の切手から国内の切手まで、使用済み切手とさまざまな色のラインや模様が選べる。シリアル番号付きのこのシリーズハガキはその場で購入することも可能だ(1枚、税抜き500円)。

 「めぶきのまつり」にちなんだお菓子が並ぶテーブルでは、日替わりカフェ店主が淹れるドリンクを楽しむこともできる。日替わり店主は風の役割だという髙濱さん。日々違う店主がお客様を迎えており、それぞれの店主に会いにリピートして通うお客さまも多いのだとか。



 店主が選ぶ今日の1枚など、いたるところにその日その日の風が吹く趣向が凝らされている。


  沖縄の大神島のおばあとの出会いにインスピレーションを得て描かれた作品たち。



 髙濱さんは最終日まで連日在廊予定。1階でお茶を楽しんだり、過去の作品たちをじっくり味わい、地下の静かな土を使った絵たちに囲まれたスペースで、瞑想したり。様々な楽しみ方ができる展覧会。四方八方に作品、作家、お客様、カフェ店主のイメージが広がり、時空ではじけるような体験を、ぜひ味わってほしい。


<展覧会概要>

「旅する木 髙濱浩子 めぶきのまつり」

会場:B1F un & 1F deux & trois

会期:2024年3月16日(土)-4月9日(火)

11:00-18:00  *最終日は16:00まで

3月27日(水)、4月3日(水)休廊