2020.07.23 12:50『追龍』蘇る九龍城砦!権力相手に”抗う自由”を見せつける! 香港の一国二制度が形骸化する国家安全維持法があっという間に成立、民主派団体が相次ぎ解散を表明する中、毎年香港で大規模なデモが行われている7月1日には、香港独立の旗を持っている人が逮捕されたというニュースが流れ、日本でニュースを見ているだけでも、香港がもはや自由な表現ができる状態ではないことが窺い知れた。香港の未来に悲観的な気持ちを抱く人...
2020.07.16 14:54『WAR ウォー!!』黙って見るのがツラい!驚き連続のボリウッド版『ミッション・インポッシブル』 新作アクションに飢えている!マッチョに飢えている!ボリウッドに飢えている〜〜〜!!!コロナ禍の今、これぞエンタメやねん!みたいな作品は、日頃それをそんなに求めていない人にも、モリモリと元気を与えてくれるのではないだろうか。かくいう私も、最近2時間以内のボリウッドも増えてきた中、久々のインターミッションマークありのたっぷり尺、スパイアクシ...
2020.07.14 13:30『ぶあいそうな手紙』目は見えなくても心は見える いい映画というのは、そこに本当に豊かなものが含まれている。ただ物語を追うだけでなく、その会話の端々、散歩で見る光景、主人公の行動を観察しているだけでも、いろいろな発見があり、調べようと思うことが続々と出てくる。南米、ウルグアイにほど近いブラジルのポルトアレグレから届いた人生を変える出会いの物語は、今はなかなか難しい人と人との出会いや触れ...
2020.07.14 13:00『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』今闘い続けていることを果敢に描く、フランソワ・オゾンの新境地 フランスで起きた、神父による児童への性的虐待事件は社会を揺るがしたというが、それは決してフランスのことだけではない。この6月にカトリック神父からの性暴力被害を告発する集会が長崎で開かれ、女性信者が被害体験を語ったというニュースを目にし、決して対岸の火事ではなく、私たちの社会で声をあげることができず、苦しんでいる人たちがたくさんいることを...
2020.07.13 00:43『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』少女の目線で綴る沖縄とウチナーンチュの心 少女の相手に対する思いやりと、自分が感じた驚きや疑問の奥にあるものに向き合う勇気が、観る者を惹きつける。『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』の主人公は、石川県から単身で沖縄にやってきて、フリースクール、珊瑚舎スコーレ(以降スコーレ)に通う坂本菜の花さんだ。 珊瑚舎スコーレは、初等部(10歳から)、中等部、高等部、そして夜間中学校と非常に幅広...
2020.07.09 00:52『バルーン 奇蹟の脱出飛行』自由を求めた東独一家、命がけの挑戦 ベルリンの壁がまだあった時代の社会主義国、東ドイツでは、自由を求めて西ドイツへの脱出を企てる人が後をたたなかった。だが、彼らのほとんどは、国境を警備する秘密警察の手にかかり、捕まったり、その場で射殺されていたのだ。命がけとは決して大げさではなく、失敗すればその場で殺されるか、もしくは生きて捕まっても、親は刑務所に入れられ、子どもは施設に...
2020.06.23 14:25『ワイルド・ローズ』葛藤を超えた歌声がハートに響く 子育てをしたことのある人なら、夢と子育て、もしくは仕事と子育てを天秤にかけざるを得なくなるような状況に遭遇し、前に進めなくなってしまうことを身をもって体験することが多いのではないだろうか。特に若い時は、今チャンスを逃せば夢が掴めなくなってしまうと思い込み、焦り、余計に自分も、そして周りも追い込んでしまう。有名ミュージシャンを数々輩出して...
2020.06.22 13:21『SKIN/スキン』憎しみの連鎖を断ち切れ! アフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイドさんが複数の白人警官から暴行を受けて死亡した事件は、アメリカの歴史の中で度重なる人種差別をコロナ禍の世界中の人々に改めて突きつけ、アメリカを中心に世界中で「Black Lives Matter」のスローガンを掲げたデモが行われたことは記憶に新しい。SNSなどで誹謗中傷にさらされる際も、人種差別用語や...
2020.06.17 05:15『今宵、212号室で』ひと夜の大人ファンタジーが問う夫婦の愛 これぞフランス、大人のラブファンタジーと膝を打ちたくなるような、チャーミングさとコミカルさが心地よい。コロナ禍で、一度立ち止まって色々なことを振り返る機会ができた人も多いのではないかと思うが、まさに何もしなければ否応なく続いていく夫婦の関係を振り返る作品とも言える。主演のマリアを演じるのは、マルチェロ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌー...
2020.06.11 03:00『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』全てを脱ぎ捨て、自分の壁を解き放つ 新型コロナ禍の今、ソーシャルディスタンスが世界的に推奨され、濃厚接触禁止のお触れが出ている。レジでの各種受け渡し時ですら、手渡しではなくトレイを介してがデフォルトの時代になった。業務的なものはそれで仕方がないのかもしれないが、本来なら握手する、ハイタッチする、ハグする、頭をなでる、キスする・・・とさまざまな日常的接触を介して、相手とのつ...
2020.06.10 05:19『はちどり』やり場のない感情を抱えて生きる「少女時代」がよみがえる 中2のウニは、高校生の姉、受験生の兄がいる5人家族の末っ子。両親は餅屋を営み、忙しい時には家族総出でお店の仕込みを手伝う。姉は塾をサボってはボーイフレンドと遊んでばかり。兄はいつも偉そうで、何かと言えばウニを殴るけれど、ウニは歯向かえずにいる。父は、ソウル大学を目指し、将来いい会社に就職することが幸せと信じて疑わず、塾をサボろうものなら...
2020.05.31 03:25『タゴール・ソングス』時を超えて語りかける言葉や歌が、生きる道標となる 1913年、非ヨーロッパ語圏で初めてノーベル文学賞を受賞したインドを代表する詩人であり、2000にも及ぶ「タゴール・ソング」を作り上げ、インド国歌「ジャナ・カナ・マナ」、バングラデシュ国歌「我が黄金のベンガル」でも知られるラビンドラナート・タゴール。恥ずかしながら、私はタゴールのことを知らなかったが、マレーシアのヤスミン・アフマド監督作...