新しい表現にチャレンジした学生たちの個性がほとばしるオムニバス「第四欲求 若き映像作家の新○○論」、シアターセブンにて12/12より1週間限定ロードショー
バンタンデザイン研究所大阪校映像学部の学生たちが、コロナ禍の今夏、映像新時代のざわめきを予感させる短編を製作、若者たちのジャンルレス・オムニバス「第四欲求 若き映像作家の新○○論」として、シアターセブンにて12/12より1週間限定ロードショーされる。
「第四欲求 ‒若き映像作家の新○○論-」とは、睡眠欲、食欲、性欲に続く、彼ら/彼女らにとっての4つめの欲求「映像で認められたい」。若き映像作家たちがジャンルに捉われない自由な発想から5つの映像作品を生み出した。6人の監督がオムニバスとして全作品を通して見たときに「各作品の撮り方や内容、作風から個性が浮かび上がり、それぞれに面白みがある」と口を揃えた通り、アンドロイドが主人公の近未来ものから、時代劇、VR世界、映像エッセイ、そして怪獣ものと実に多彩なジャンルを楽しめる。その一方で現代の私たちの生活と地続きであることを感じさせるのが魅力だ。
1.『Love Distraction』
アンドロイドと眠るのが好きな青年の物語。6人の中で唯一の1年生だという森山竜司監督は当初アンドロイドの恋愛ものや、『ブレードランナー』調のものを考えていたそうだが、男性のアンドロイドと青年の組み合わせにするとあまり見たことのないニュアンスの作品になる手応えを感じたという。タイトルの「Distraction」は「気晴らし」という意味で「何かに惹かれ、偶然一緒にいた二人の2日間を描く中で、自分の抱えているものを解放していく気晴らし気分になるのを見てもらえれば」。ちなみにアンドロイド役には演技未経験の人を起用しているが、逆にそのたどたどしさが、アンドロイドの動きのぎこちなさの表現に活きたのだという。劇中では大阪・九条の街並みや、商店街も登場し「私たちのいる日常の街にアンドロイドがいる景色を見ていただきたい」。
2.『回る世廻』
時代劇にチャレンジした作品。資源、領土や病を理由に争いが多発していた時代に子が産まれなくなる病が蔓延、病を治すことができる石「廻希石」を持っている預言者を探して、日の国から平和主義者の弥七が、月の国からはリアリストの久蔵が派遣されるが…。森山竜司監督が「なんとしても形にしたかった。みんなの協力があったからこそできた作品」と言う通り、淡路島南部の山中で全編ロケを敢行。5本目の『花男VS花人間』監督でもある小野萌人が本作では脚本を担当し、ラストシーンの解釈をめぐり二人で相当議論したという。森山監督がこだわった「きれいごとで終わらせたくない」ラストにも注目してほしい作品だ。
3.『RETALTY』
仮想現実の中で自分らしさをみつける20代女性が主人公の作品。ミカヅキユウトとウエムラハルカが共同監督を務めた。自宅に帰っても上司から仕事で叱責する電話を受けた主人公はすねがVRの世界で何かを見つけ出す物語。VRの世界では、見慣れた難波の風景も全く別世界。監督、脚本、撮影のミカヅキがオリジナルで作曲した音楽に乗って、ウエムラが素材を一からコツコツと作り上げていったというVRのビジュアルが繰り広げられ、トリップ感を味わえる。ウエムラは衣装、美術も担当。「はずみの部屋を一から作り上げるのに苦労しました。ラックにかかっている洋服や小物も全て準備しました」。VRの世界ではすねが身につけている衣装にも注目してほしい。撮影しながらの演出が難しかったというミカヅキ監督は「現実にいるのは変わらないけれど、最後は気持ちが上がるようにしたい。20代前半の同世代の人に見ていただきたいと思って作りました」。
4.『憂鬱なので一旦消えときたい。』
他作品でも美術や制作に携わった角谷杏花が監督・撮影・照明・音声・編集、そして主演と一人で作り上げた純度の高い作品。シナリオを書かず、自分の実体験をもとにしながら普段自分の考えていることをそのまま映像に落とし込むというコンセプトで、作りながら考えるスタイルを取ったという。「生きたいけれど生きたくないという自分の中の矛盾した気持ちを表現したくて詰め込んだ」という冒頭シーンは、現代を生きる若者たちに鋭く突き刺さるはず。閉じこもっていた自分から心が広がって行く様子を画角を広げることで表現するなど、映像的な工夫を重ねた作品。「薄暗い中で見た、散らかっている部屋のシルエットが憂鬱な感じが出ていいなと思ったので、そこにも注目していただきたいです」
5.『花男VS花人間』
1950年代から1960年代に作られた怪人映画をモチーフにした小野萌人監督の意欲作。本作で花監修をしている田中元気のポートフォーリオのモデルとして花人間になったことがそもそものきっかけだったという小野監督。もともと怪人ものが好きだったこともあり、花人間を戦わせることをメインに脚本を書き上げた。どんどん寄生され、人間が自我を失うにつれて花にまみれていく過程を田中と話し合い、最後には毒々しい感じを目指したという。クライマックスのシーンは梅田がみえる淀川河川敷でロケを敢行。ゾンビ映画を思わせる描写も見どころだ。「前作の反省を活かし、場面のつながりや、カットを細かくしたり、描写を増やすということに取り組みました。ヒッチコックが好きなので、映画らしい映画を作れたのではないかと思います」
コロナ禍でも知恵を出し合い、仲間たちと協力して作り上げた若き映像作家たちのジャンルレス・オムニバスをお見逃しなく!
※連日舞台挨拶、来場者プレゼント(限定数)あり。
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