沖縄伝説のロックバンド「紫」の歴史と音楽の源泉に迫るドキュメンタリー映画『紫〜MURASAKI~』、2/3より京都、大阪、2/25より神戸で公開!


沖縄伝説のロックバンド「紫」に迫るオキナワンロック・ドキュメンタリー映画『紫〜MURASAKI~』が2月3日(金)よりなんばパークスシネマ、アップリンク京都、2月25日(土)よりシネマ神戸にて公開される。



監督は、沖縄喜劇の⼥王・仲⽥幸⼦初出演映画『なんくるないさ』の野⽥孝則。

1970 年、⽇本復帰前の沖縄で、キーボーディストでリーダーのジョージ紫を筆頭に結成された紫は、1975年、念願の本土上陸で伝説のライブ、ヤマハ「8・8ロックデー」(大阪)にゲスト出演。そこでの爆発的な盛り上がりを経て、1976 年1st アルバム「MURASAKI」を発表し⽇本のロック史に⾵⽳を開けた。本作では、紫メンバーが結成からこれまでの活動、ベトナム戦争景気、沖縄本⼟復帰当時の熱気を語り、本⼟デビューを直接みていたLOUDNESS や影⼭ヒロノブ、紫に影響を受けた聖飢魔ⅡやPATA(X JAPAN)、⽯垣島で紫をコピーしていたBEGIN 等多くのミュージシャンがそれぞれ紫への思いを語る。



ジョージ紫さん(以下ジョージさん)へのインタビューでは、自らの活動をこのように映画としてまとめてくれ嬉しいと語りながら、

「当時のゴサには賑わっていた繁華街があり、ロックバンドもフィリピンのバンドや他の色々な国のバンドが演奏していた中、地元の人たちもいい稼ぎになるとバンドを組んだりしていました。でも、音楽の土台ができていないと、観客の米兵からビール瓶が飛んでくることもあったんです。紫の場合はいわゆるハコバンドで、クラブと数ヶ月契約していました。70年代初め頃、沖縄で退役軍人たちがロックフェスティバルをよく開催していたので、週末の夜になると、ハコバンドの僕たちは、店を抜け出してフェスで演奏できなかった。だから自分たちでライブハウスを経営することになり、そこから紫のファンがついてきてくれるようになったんです」と、結成当時の思い出を明かしてくれた。



劇中では紫のLIVEシーンや最新のレコーディングシーンも盛り込まれている。中でも、沖縄民謡の要素を取り入れた代表曲「Mother Natures Plight」は、どんどん開発され美しい海が汚されていくことを若い頃から危惧していたジョージさんのコメントが印象深い。

「僕が紫を結成する前から一番影響を受けていたのが、イギリスのロックバンド、ディープ・パープルで、ロックですがクラッシック音楽をベースにしていたんです。特にキーボードでリーダーのジョン・ロードが好きで、イギリスのBBCに依頼され、ロックバンドとオーケストラのためのコンツェルトを作曲したものを聞いたときには本当に感動しました。ジョン・ロード本人に会ったときに曲づくりについて聞き、そこからインスピレーションを得て、『Mother Natures Plight』の曲作りの際は、ロックと沖縄音楽の融合を試みてみたのです」と裏側を明かした。

昨年50周年を迎えた紫、オリジナルメンバーは皆70代になったが、途中から加わったボーカルのJJとベースのクリスが、今の紫をしっかりと支えている。ジョージさんは、「クリスはまだ40代ですが、いろんな意味で紫を支えてくれています。音楽的な才能もありますし、ベースだけでなくギターもピアノも弾けるし、レコーディングエンジニアの技術もあれば、アレンジ力もあり、そして作曲もできる。まさにマルチプレーヤーなんです」

さらに、映画でも登場した新曲の『Raise your voice』も、ジョージさんがコード進行やメロディーを作り、クリスさんによるギターアレンジに、JJさんが歌詞をつけてくれたのだという。「今は無関心で声がないけれど、よく考えて、声をあげようという趣旨」だとジョージさん。最後に「ぜひ、みなさん映画を観に来てください!」と呼びかけた。

現在進行形で進化し続けるロックバンド、紫の魅力と、彼らを育んだ沖縄の歴史を、ぜひ体感してほしい。

(江口由美)


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