パレスチナ問題の原点を描く劇場未公開の傑作『ファルハ』も緊急上映!『イスラーム映画祭9』2024年春に東京・名古屋・神戸で開催決定!


 2015年12月にスタートし、2017年から神戸・元町映画館でも開催され、中東や北アフリカに広がる「イスラーム文化圏」の映画を紹介するだけでなく、映画のテーマに合わせた専門家のトークゲストによるセッションも人気を呼んでいる「イスラーム映画祭」。昨今の円安により開催が危ぶまれたものの、継続を望む多くの声に応え、「イスラーム映画祭9」を2024年3月16日(土)から渋谷ユーロライブを皮切りに名古屋・神戸の3会場で開催することが決定した。


 例年名古屋会場となっていた名古屋シネマテークが2023年7月に閉館したが、今回は2024年2月に同館跡地に誕生するミニシアター「ナゴヤキネマ・ノイ」が新会場に決定。東京会場では週末限定、神戸会場では1日あたりの上映本数を減らすなど縮小開催になるが、イスラーム映画祭を主宰する藤本高之さんがセレクトした時代を映しだす新旧さまざまな作品たちを堪能し、イスラーム圏の気鋭の映像作家を発見できるのも、この映画祭ならでは。



 今回は、10月7日に発生したパレスチナ・ガザ地区を拠点とするイスラム組織ハマスの越境攻撃と、その「報復」や「自衛」と呼ぶにはあまりに苛烈なイスラエルのガザ侵攻が続いている現状を鑑み、パレスチナ問題の原点である1948年のイスラエルによる民族浄化、“ナクバ”(アラビア語で“大災厄”)を少女の視点から描いた劇場未公開の傑作『ファルハ』を緊急上映する。(東京・神戸のみ)

「歴史大作からヘビーな社会派ドラマ、移民をテーマにした子ども映画やコメディまで、9年続く企画としての連続性と、“今、世界で起きているのに忘れられている事”も意識しつつ、多彩な12作品を揃えました」という藤本さんの言葉通り、イスラーム社会の様々な年代の物語から現代につながる問題や、そこで生きる人たちの姿にぜひ触れてほしい。



注目作1『私は今も、密かに煙草を吸っている』フランスへ亡命した女性監督が描くアラブ女性たちの本音(日本初公開)


アルジェリア軍とイスラーム主義勢力が争っていた内戦中の1995年を背景に、舞台をハマムに限定して抑圧下の女性たちを描く人間ドラマ。全編のハマムのシーンはギリシャで、女性スタッフのみで撮影された。



注目作2『アユニ/私の目、愛しい人』シリア政権下で続く人道犯罪を訴えるドキュメンタリー(日本初公開)

緊迫するパレスチナ情勢の影で今なお民衆革命への弾圧が続いている隣国のシリア。そのアサド政権下で続く人道犯罪、“強制失踪”の被害者家族を追ったドキュメンタリー。民衆革命が起きた2011年3月から現在まで、被害者は10万人以上。その一人一人に人生があることを教えてくれる。



注目作3『憎しみ』公開当時フランスで社会現象となったエポックメイキング(28年ぶりの劇場リバイバル)


フランスの都市郊外(バンリュー)に住む移民ルーツの若者の実態を描き、公開当時一大センセーション巻き起こした作品。差別の中で生きる3人の若者の鬱屈とした心情を、白黒のシャープな映像で炙り出す。


他のラインナップは、

■『炎のアンダルシア』

12世紀アンダルシアが舞台の歴史大作が、26年ぶりの劇場リバイバル!

■『戦禍の下で』

2006年に起きたイスラエルによる第二次レバノン侵攻後、1年足らずの間に撮影された戦禍の人間ドラマ

■『ハンズ・アップ!』

強制送還されそうな非正規滞在のチェチェン人少女を、同級生たちが守ろうとする幼くも骨太なレジスタンス映画

■『辛口ソースのハンス一丁』

親の祖国と生まれ育った国の価値観に挟まれながら、自身の幸せを探す移民二世を主人公にしたコメディ映画

■『私が女になった日』

イランのイスラーム社会における女性の置かれた状況を、3つの世代の女性を主人公とするオムニバス形式で綴った作品が、22年ぶりの劇場リバイバル!

■『メークアップ・アーティスト』

自分らしく生きようとする現代イラン女性の肖像。少数民族バフティヤーリー族の暮らしも伺える。

■『スターリンへの贈り物』

第二次大戦後、スターリンの強制移住政策によって中央アジアに送られた人々が地元の人間と宗教や民族を超えて共生する姿を叙情味豊かに描く。

■『ハーミド〜カシミールの少年』

その帰属をめぐり1947年の分離独立以降、インドとパキスタンの対立の原因となっている、ヒマラヤ山脈の麓カシミールが舞台。無垢なムスリム少年の父親探し。


【開催概要】

【東 京】

会期:2024年3月16日(土)17日(日)23日(土)24日(日)※4日間

会場:渋谷ユーロライブ(ユーロスペース階下)( http://www.eurospace.co.jp/

【名古屋】

会期:未定

会場:ナゴヤキネマ・ノイ

【神 戸】

会期:2024年4月27日(土) - 5月3日(金)

会場:神戸・元町映画館( http://www.motoei.com/

主催:イスラーム映画祭

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