日本ボクシング界に一石を投じるドキュメンタリー『破天荒ボクサー』、10月20日よりシネ・ヌーヴォで公開


2011年、当時JBC(日本ボクシングコミッション)非公認だったWBO(世界ボクシング機構)で世界フェザー級タイトルマッチを日本人初で行ったボクサーがいる。大阪出身のプロボクサー山口賢一だ。JBCのプロボクサーとして国内で試合を行っていた山口が、なぜJBCのプロボクサーライセンスを返上し、海外でプロボクサー生活を続けるに至ったのか。海外での活動も交えながら、大阪でジムを立ち上げ、精力的に活動を行っている山口に密着し、閉ざされた日本ボクシング界に一石を投じるドキュメンタリー『破天荒ボクサー』が、10月20日(土)よりシネ・ヌーヴォでロードショーされる。 

11連勝を果たし、コンディションがベストの状態であるにも関わらず、ジムの会長推薦がないためタイトルマッチを組んでもらえず、その状況に業を煮やした山口はJBCに引退届を提出する。JBCのプロボクサーライセンスがなければ、JBC公認の試合に出られないことを逆手に取り、JBC非公認の海外団体で闘うことを選んだ山口。強くてもジム内の力関係やジムの会長に気に入られているかどうかで、試合を組んでもらえるかどうかが決まる。山根会長のようなドン的存在がいることを昨今のニュースで知ったばかりだが、スポーツの世界の闇の部分が浮かび上がる。  


選手を守る部分はあれど、選手の機会を奪ってしまうことにもなる現行の日本ボクシング界のシステムに疑問を持つ山口がたった一人で海外に挑む様子だけでなく、ジムでボクサーの卵を指導したり、高校のボクシング部で顧問的役割を果たしたりと、これからの才能をサポートすることにも力を注ぐ。大阪人ならではの威勢の良い言葉で、タブーなし、本音を語る山口のボクシングに対する情熱が伝わると同時に、日本で最後の現役試合にも密着。
「バカにされてもいい。自分で興行し、自分でジムをし、自分で試合に出る」を文字通り実践した日本初のボクサーの姿に心打たれることだろう。  


本作の武田倫和監督(写真右)は、前作『イナかのせんきょ』をシネ・ヌーヴォで上映した時、初日に駆けつけてくれたのが山口賢一さん(写真左)で、「俺を撮った方が面白いぞ」と声をかけられたことが本作を撮るきっかけになったという。
大阪試写で初めて完成版を見た山口さんは、「アカンところばっかり載せている、ハメられたわ〜」と苦笑気味だったが、「日本のボクシングの現状と海外のボクシングの現状は違うことをボクサー自身も知らないことから、自分のやったこと、生き方を見せていきたい。僕は結局自分のやりたいことをやり尽くし、納得のいくボクシング人生だったので悔いはありません。納得がいっていないボクサーがほとんどだと思うので、これからのボクサーのために、この映画を見て、生き方を決めてもらえばと思います」と力強く語った。ボクシング業界が揺れに揺れている今、本作を見ることで、より日本のボクシングが今後取り組むべき問題が明確に感じられることだろう。また、信念を持って自分のやりたいことをやり抜く男の物語としても、お勧めしたい作品だ。 

(場面写真 江里口暁子)

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