「女性同士だから共有できた」菜 葉 菜、難役に挑んだ甲斐監督の撮影を振り返る。『赤い雪 Red Snow』舞台挨拶@元町映画館
永瀬正敏、菜 葉 菜のW主演で、人間の記憶の曖昧さ、摺り替えを根底に潜ませた重厚なサスペンス『赤い雪 Red Snow』が2月2日(土)より元町映画館で絶賛公開中だ。オリジナル脚本となる本作で長編デビューを果たした甲斐さやか監督と、主演の永瀬正敏、菜 葉 菜が公開2日目となる2月3日(日)の上映後に登壇し、満席の観客から大きな拍手で迎えられた。
「ただいま!ですね」(永瀬)、「素晴らしいラインナップ、初めて来たけど元町映画館を好きになりました」(菜 葉 菜)、「素晴らしいラインナップに加えていただいてうれしい」(甲斐監督)と最初に元町映画館の感想を交えての挨拶をした3人。
菜 葉 菜が演じる主人公、早百合は、少年失踪事件の容疑者の娘。永瀬正敏が演じる漆職人の一希は、子どもの頃失踪した弟の兄で、失踪直前に弟を見失ったことが頭から離れないという役どころだ。幼い頃から母親(夏川結衣)に虐待され、今は旅館で働きながら、母の愛人だった宅間(佐藤浩市)と荒んだ暮らしをしている早百合役を演じた菜 葉 菜は、「そうそうたる先輩の中に立たせていただいているプレッシャーがありましたし、現場に入ると勝手に追い込まれてもがいている部分がありましたが、みなさんが良くしてくださった。夏川さんには女性ならではの悩み(濡れ場)についても相談に乗ってもらいました」と撮影を振り返った。甲斐監督からはすごく面白い役でぴったりとオファーされたそうで、「この早百合が私にぴったりなのかと驚きましたが、脚本を読んでこういう役をやりたいと思いました」
永瀬正敏も、初めて脚本を読んだ時の感想について、「すごい脚本だと驚きました。いつもは、途中でコーヒーを淹れたりするのですが、一気に読んでしまって。若い頃によくあった映画のタイプ。最近はないなと思っていたら、やっと出てきたかと。でも、実際にお会いすると監督がこんなに可愛い方でビックリ。現場ではニット帽をかぶってとても可愛かったのですが、役や作品の向かう道が一切ブレない。役者はただ監督について行けばよかったのです」と甲斐監督の現場での様子も紹介した。
甲斐監督は脚本を書いた時からそれぞれの演者を想定して書いたそうで、「事前にそれぞれ役に向き合い、役を作り込んでいただける方ばかりだった」とキャスト達の役作りぶりを絶賛。観客からの質問で背中や顔を映さないショットが多いことを聞かれると、「永瀬さんは背中で伝わる部分が多かったので、(背中のショットを)たくさん撮りました」
早百合も登場してからしばらくは顔が映らず、不穏な空気を漂わせるが、これらのシーンについて菜 葉 菜は、「道を歩いていてすれ違う時、ちょっとやばい感じがする人。早百合ははそういう感じが漂っている人だと監督に言われ、旅館で何もしゃべらず睨むというシーンは何カットも撮りました」と甲斐監督の粘りぶりを振り返った。さらに、「早百合はは、モンスターぐらいの強さがないといけない役。甲斐監督とは監督と女優というだけでなく、女性同士だから共有できたと思います。男性は理想の女性を追い求めますが、女性同士で同じものを目指してやってこれました」と、甲斐監督と相談を重ねながら、早百合を作り上げたことを明かした。最後に甲斐監督は「スタッフ、キャストが一眼となって作ったので、一人でも多くの人に届くようにご協力ください」と挨拶。関西舞台挨拶ツーア2館目となる元町映画館の舞台挨拶を締めくくった。
昭和のATG映画を見ているような胸の奥を掴む深さと、挑戦的なビジュアル。
雪の中に染まる血のような赤や、漆のしたたりおちる赤にゾクリとさせられる。サスペンスである一方、 人間の不確かな記憶に関する物語でもある。キャスト達の全身全霊の演技にも身震いさせられるヒューマンドラマをお見逃しなく!
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