三千年の謎に迫る!「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」、あべのハルカス美術館で6/14まで開催


 あべのハルカス美術館で、2026年3月20日(金・祝)から6月14日(日)まで「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が開催される。

 本展では、古代エジプトコレクションでは質、量ともにアメリカ屈指と名高い、ニューヨークのブルックリン博物館よりやってきた彫刻、棺、宝飾品、土器、パピルス、そして人間やネコのミイラなどを含む約150点の遺物を通じて、私たちの想像を超える高度な文化を創出した人々の営みをひも解く。「知っているようで知らない事実」から最新技術を使ったピラミッド調査映像や音声も交えて紹介している。楽しいトリビア解説を随所に盛り込んだ、新しい発見に満ちた展覧会だ。

 開催に先立って行われたプレス内覧会では、ブルックリン博物館 巡回展シニア・マネージャー グウェン・アリアガ氏は「我々が保管、管理している古代エジプトコレクションは、1つの文明という物語の語り部であり、日本と同じように豊かな歴史や伝統職人技、そして永遠に繰り返される生命などを深く重んじる文明の物語を語り継いでくれます」とご挨拶。



 本展監修者でエジプト考古学者/名古屋大学 デジタル人文社会科学研究推進センター教授の河江肖剰氏は、「偶然にも2025年カイロに公開したばかりで、単一文明を扱う博物館としては世界最大の『大エジプト博物館』とほぼ同じ構成になっています。1st Stageで今までの展覧会ではあまりフォーカスされなかった“日常生活”を取り上げていますが、エジプト文明にはじめて触れる人でもわかるように、先王朝時代からプトレマイオス朝時代までの数千年間をテーマごとに展示しています」と、従来のエジプト展にはなかった『日常生活』を包括的かつ鮮明に感じられる展示を、まずは見所として挙げた。

※写真左より「上流階級の女性の小像」(木)、右上はビールやワインの壺、テーブルの上にはパンが描かれた「女性と供物を描いた墓の壁画」(石灰岩)、右下は「王宮から出土した首飾り」(ファイアンス)「ヤグルマギク型のペンダントが付いた首飾りの一部」(ファイアンス)


 さらに本展のキービジュアルになっている貴族の男性のレリーフ(石灰岩、顔料)では、「貴族の横顔のように見えますが目は正面を向き、肩も両肩を描くという複合視点の描写がされています。さらに非常に綺麗な髪型はカツラで、供物を捧げるとき、葬儀に行くときなど、古代エジプトではカツラを変えて楽しむ文化がありました。他にも新王国時代のレリーフがあるので、ぜひ見ていただきたいです」(河江氏)。

また2nd Stageの前には河江氏が現在行なっている発掘調査、観測についての映像や、普段河江氏が使用している発掘道具を展示。「宇宙から降り注ぐミューオンという素粒子を使って、ピラミッドの中の空間が発見されていることも紹介しています。ピラミッドの石のサイズがわかる実物大のパネルで、ピラミッドの大きさを体感していただけます」



  2nd Stageファラオの実像を解明せよ!では、三千年の王朝史を通じて活躍した12人の王が登場する。中でも河江氏が注目したのは花崗岩から作られた「王の頭部」。知られている中では最古の、現存するエジプト王の巨像の一部だが、「形から考えて、第三王朝のフニ王か、第四王朝の大ピラミッドを建造させたクフ王ではないかと推測されています。像に名前はありませんが、上エジプト地方の冠を被り、耳のところに垂れ下がっている部分(タブ)が四角で太い。第三王朝から第四王朝でこのタブを被っている類例としてあるのがクフ王です。クフ王の名前がついた彫像はアビドスで発掘された7センチぐらいの象牙の像しかありませんから、これがクフ王のものだとすれば最大級のものとなります」(河江氏)。



 王や神の像だけでなく、穀物倉の監察官や高官の像から当時の社会や信仰心を紐解いている。上写真は、古王国時代・第6王朝の初代王、テティのもとで交換を務めた人物メチェチィの像(木、ジェッソ、顔料、アラバスター、黒曜石、銅合金)。役人が着る長い腰布をまとい、この時代の彫刻によくみられる大きな頭、大きな目、長い指という特徴が出ている像となっている。

またツタンカーメン関連のレリーフの展示も。「ツタンカーメンの義母で古代エジプト三大美女の一人と呼ばれているネフェルティティのレリーフが今回展示されています。また、ツタンカーメンの時代に多神教から一神教への宗教改革を行ったアテンと呼ばれる太陽円盤神が一部表現されているレリーフもぜひ見ていただきたい」(河江氏)。



 Final Stage死後の世界の門を叩け!では、エジプト文明の代名詞にもなっているミイラなどの葬送文化を紹介する。「ミイラをはじめ、取り出した内臓を入れるカノプス壺を紹介しています。今回は音でも体感していただくため、古代エジプトのヒエログリフ(聖刻文字)を音韻再建し、会場に流しています。ヒエログリフは子音しか表記されないため、本来の発音がわからなかった。その音を再建し、人類最古とも言える宗教文書(ピラミッドテキスト)を、古代エジプト語の歴史を研究されている筑波大学の宮川創先生に読んでいただきました」(河江氏)。

多彩な副葬品をはじめ、さらに来世での永続的な保護への願いが反映されている石製のミイラ型棺、古代エジプトの動物崇拝の一端が垣間見えるネコのミイラなど、時代とともに変化するエジプトの葬送文化を垣間見ることができる。ミイラ作りをアニメーションで紹介する動画もあり、初めてミイラに触れる人にも楽しく深く文化を伝える工夫がされている。



 さらにブルックリン博物館らしい展示と河江氏が挙げたのが、ウェレトワハセトの棺(写真上)。「古代エジプトの女性の肌は家の中で過ごすことから白や黄色ですが、女性であるウェレトワハセトの肌の色は男性のように褐色です。というのも新王国時代、女性が亡くなった後は、一度ジェンダーを男性に変えなければ来世で再生、復活ができないと考えられていたからです。ブルックリン博物館はアメリカ最先端の展示テーマで展覧会を行なっており、動物のミイラの展覧会や古代エジプトのジェンダーは何だったのかをテーマにすることもあった。まさにそのテーマの一つであり、とても重要な遺物なのがウェレトワハセトの棺なのです。棺の中にはカルトナージュでできたマスクがあり、こちらは女性に戻っているので肌が黄色くなっているという違いを見ることができます」(河江氏)。

 人間が生まれてから死ぬまで、そして来世での再生を願い、古代エジプトで行われてきた営みや宗教儀礼、祈りの姿が全編を通して感じられる、新しい視座を与えてくれる「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」。菊池風磨さん(音声ガイドの特別版ナビゲーター)の音声ガイドとともに、古代の神秘と現代に通じる生活の一端をぜひ感じてほしい。



【開催概要】

展覧会名:ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト

会期:2026年3月20日(金・祝)~6月14日(日)

休館日:3月23日(月)

会場:あべのハルカス美術館

〒545-6016 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F

開館時間:火~金/10:00~20:00 月土日祝/10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)

入館料(税込):

当日|一般 2,300円、大高生 1,800円、中小生 500円

団体|一般 2,100円、大高生 1,600円、中小生 300円 

※団体は15名様以上。

※障がい者手帳をお持ちの方は、美術館チケットカウンターで購入されたご本人と付き添いの方1名様まで当日料金の半額。


【チケット販売所】

あべのハルカス美術館ミュージアムショップ(美術館開館日のみ)、あべのハルカス美術館HP(オンラインチケット)、近鉄駅営業所、ローソンチケット、チケットぴあ、イープラス、セブンチケット、楽天チケットなど。 

※チケット購入の際にプレイガイドによって各種手数料が発生する場合がございます。

主催:ブルックリン博物館、あべのハルカス美術館、朝日新聞社、東映、読売テレビ

協賛:DNP大日本印刷

協力:名古屋大学、日本航空、一般社団法人Platoo、ヤマト運輸、World Scan Project

企画協力:日本テレビ放送網

展覧会公式サイト:https://egypt-brooklyn.exhibit.jp/

美術館公式サイト:https://www.aham.jp/exhibition/future/brooklyn/

お問合せ:06-4399-9050(あべのハルカス美術館)