「チェコ・デザイン 100年の旅」展、京都国立近代美術館で7/5まで会期延長。「ポーランドの映画ポスター展」も同時開催


 新型コロナウィルス拡大防止のため、開幕延期となっていた京都国立近代美術館の「チェコ・デザイン 100年の旅」展が、感染症拡大防止対策を行い5月26日(火)に開幕、7月5日(日)まで期間を延長して開催される。同美術館の柳原正樹館長は「独立行政法人国立美術館の先陣を切り、京都で開館させていただいた。世の中同様、美術館も新しい様式が問われ、初めてのことに色々模索をする中で、今回の『チェコ・デザイン 100年の旅』展は一つの指針になるのではないでしょうか」と、開催目前に臨時休館となり、ようやく開催に至った心境を明かした。 



 今まで、チェコのアール・ヌーヴォ期の展覧会や、ボヘミアングラスの展覧会など、特定期間、分野に絞っての紹介が行われてきたが、世界でも高い評価を得ているチェコ・デザインを100年の流れで見ることができる展覧会は今回が初めて。社会情勢との関わりの中で、デザインがどのように変わっていったかを感じることができる。チェコ国立プラハ工芸美術館所蔵の作品を中心とした約250点の作品は、ポスター、食器、日用品、装飾品、家具と多岐にわたるが、当時の中流階級の人が日常使いできるものや、工業品が中心であり、まさに生活の中に根付いたデザインも垣間見ることができる。巡回展だが、京都国立近代美術館では展示会全体のデザインに木板を使った和建築の要素を取り入れ、和モダンな雰囲気でありかつ、親しみやすさを感じさせる。説明を最低限に留めることで、より展示物のデザインを集中して見る仕掛けになっているのも特徴だ。


 展示では、まずアルフォンス・ミュシャのアール・ヌーヴォー様式による四連パネルシリーズをはじめ、オーストリア=ハンガリー帝国の一部であった時代、ウィーン分離派やウィーン工房の影響を受けた工芸品。さらに、1920年代、中欧の新興国となったチェコスロバキアで花開いたアール・デコ作品、グラフィックデザインや本の装丁、ガラス器セット(パリ・アール・デコ博出展作)などが年代ごとに紹介されている。



 ドイツの美術、建築学校バウハウスの作品群などに由来する機能主義の概念が1930年代、インテリア・デザインのシンプルさと機能性に結びついたが、その代表的なデザインの椅子や食器セットも多数展示。一方戦時中は、材料的な制限もあり、天然素材を使った手工芸品が表れるのも、非常に興味深い。1950年後半から自由な芸術の様式が工業用品にも影響を与え、プラスチック素材の進化によるデザインや色使いの多様性が見て取れる家具、日用品も展示されている。



 さらに70年代になると、大阪万博のチェコスロバキア館のために作られたヤン・シュラーメクによるアームチェア「オオサカ」(写真手前)や、遊び心のあるユニークな背もたれデザインのチェア、ハンドミキサー、アイロンなどの家電品も登場。チェコならではのデザインの変遷をたっぷりと感じ取ることができる。テーマ展示として、チェコのおもちゃと子どものためのアートや、チェコアニメのコーナーもあるので、お子さんと一緒にチェコデザインの魅力を堪能できる。



 4階コレクションギャラリーでは関連展示として「チェコ・ブックデザインの実験場 1920s–1930s」を7月5日まで期間を延長して同時開催。こちらは、2021年度オープン予定の大阪中之島美術館に所蔵される1920年代から30年代にかけてのチェコの書籍121冊を、作家ごとに分類し、そのブックデザインを展示。また、各作家たちのポートレートもスライド上映している。オーストリア=ハンガリー帝国からチェコスロバキアとして独立、母語で出版できるようになり、チェコで本の出版が一番盛んだった時代に花開いたタイポグラフィや装丁デザインが垣間見える。会場で配布している詳細説明入りパンフレット(無料)には、各芸術家、作家たちのバックグラウンドや創作活動の軌跡も紹介されているので、ぜひ手にとってほしい。




 そして映画好きに必見なのが、同じく4階コレクションギャラリーで開催中の日本・ポーランド国交樹立100周年記念「ポーランドの映画ポスター」展(前期:5月26日~6月14日/後期:6月16日~7月12日)だ。1950年代の中期からアンジェイ・ワイダらが斬新かつ骨太な表現で「ポーランド派」と呼ばれ、映画史の中にその作品群を刻んでいるが、映画を広報、宣伝するポスターも「ポーランド派」と呼ばれ、ハリウッドをはじめとする、スターの顔写真で埋まるようなものではなく、見る者の想像を喚起させるような芸術作品が多数誕生していた。その裏には、配給会社がなく、制約のない中、自由に創作活動ができるという社会主義時代ならではの事情もあったという。ポーランドの映画ポスター、日本の映画ポスター(黒澤明が多数!)、海外の映画ポスター(ハリウッドからヨーロッパまで)と、多岐に渡るポスターが展示され、ポーランドのポスターデザインの豊かさに触れる貴重な機会だ。


  京都国立近代美術館では職員のマスク着用、共用部のこまめな消毒・清掃、入り口にアルコール消毒薬を設置、椅子配置の変更などの対策を行う他、来場者にはマスク着用のお願い、館内混雑時には入館をお待ちいただくなど、新型コロナウィルス感染予防、拡大防止のための呼びかけをしている。詳しくは公式サイトにてご確認いただきたい。

 

【展覧会名】 チェコ・デザイン 100年の旅

【会 期】 2020年5月26日(火)~2020年7月5日(日)

【休 館 日】 毎週月曜日

【会 場】 京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)

【開館時間】 9時30分–17時 ただし、入館は閉館の30分前まで

【観 覧 料】 一般1,400(1,200)円、大学生1,000(800)円、高校生500(300)円

※カッコ内は20名以上の団体料金。中学生以下は無料。

※すでにご購入いただいた前売券は、会期変更後もご利用いただけます。

※ 心身に障がいのある方と付添者1名は無料(入館の際に証明できるものをご提示下さい)。

※ 本料金でコレクション展もご覧いただけます。

【一般の問い合わせ】 075-761-4111