16mmフィルムで10年かけて撮影する塚田万理奈監督の挑戦作『刻』、1/11よりクラウドファンディング開始!
堀春菜主演の初長編『空(カラ)の味』が田辺・弁慶映画祭グランプリで弁慶グランプリ・女優賞・市民賞・映検審査員賞と史上初の4冠に輝き、見事劇場公開を果たした気鋭の映画監督、塚田万理奈が、最新作となる長編第2作の『刻』で、16mmフィルムで10年かけて撮影するという偉業に挑む。『空(カラ)の味』でタッグを組み、現在自身の初長編監督作『おろかもの』が全国で絶賛公開中の芳賀俊が本作でも撮影を務める。塚田監督が過ごした長野県を舞台に、監督の実話をベースにした主人公の中学生が大人になるまでの10年間の物語を、地元の中学生の子ども達が成長するのに付き合いながら撮影をするという壮大なプロジェクトだ。
本プロジェクトを進めるにあたり、1月11日より「塚田万理奈監督の新作映画を10年かけて16mmフィルムで撮影したい!」と題したクラウドファンディング第1弾がMotionGalleryでスタートする。
塚田監督からの言葉を紹介したい。
物語は、主人公の中学生が大人になるまでの、約10年のお話です。ほとんどすべてが、私と周囲に本当にあった出来事です。無知な子供だったから友達になれたのかもしれない、とも思える中学時代の友人たちは、今は各々、色々な人生に直面しながら生きていて、中には疎遠になってしまった友人もいます。
でも確かにあの時私たちは一緒に成長して、それは今も私にとって愛おしい、美しい時間でした。確かにあの時はありました。だから彼らが今どうであれ、私にとって一緒に生きた仲間で、「生きていたらいいな」と思います。それを形にしたい、と、友人の1人に再会した時から、強く思うようになりました。彼はきっと苦しい人生だったと思う人生を過ごしていました。でも、私は彼がそれでも、生きていたことがただ嬉しかったのです。そしてその瞬間は、私自身が生きることも励ましてくれました。私自身、生きていることに疲れてしまうことや、ひとりぼっちだと感じることがあります。でも、生きてみて、時間と付き合ってみて、自分自身に、それでも生きていたのが嬉しいと思って欲しい、と思います。これを撮りながら、周囲の人と、自分自身と、時間を超えて付き合ってみたい、生きることに賭けてみたい、と思っています。
この作品は将来と、過去の自分への、いまの私への賭けです。
そしてできたら、時間をかけても実際に、私が過ごした田舎のように街の中だけで、でもそこが世界の全てだったロケ地で、実際に中学生の子供達が、成長するのを付き合いながら撮影がしたいです。作品の中のために合わせるというよりでなく、生きてる人に沿って撮りたいです。それが一番正直に、「人が生きている」ことだと思うからです。
子供たち、役者さんは映像のワークショップを1年やって探してきた素人の子達です。プロではないけど、1年かけて出会って、10年かけて私が肯定したいと思う子達です。
また、デジタル媒体と違って、進化し続けるのもではなく、どんなに時がたっても変わらず「なまもの」を「なまもの」で、ずっと形に保管していてくれる、フィルムのあり方に共感していると思う作品なので、フィルムで撮れたらいいなあと思っています。
時間やお金や手間はかかるかもしれません。でもお金や賞が欲しいわけでもなければ、何かを変えたいわけでもありません。私が生きるために撮りたいです。
2021年1月 塚田万理奈
特筆すべきは、10年間16mmフィルムで撮影するということ。近年の日本映画では『永い言い訳』(西川美和監督)、『月夜釜合戦』(佐藤零郎監督)、『やまぶき』(山崎樹一郎監督)などが16mmフィルムで撮影されているが、どの作品も時を超えて生き続ける作品の魂が16mmフィルムに焼き付けられている。難しい挑戦ではあるが、
「デジタルと違い進化し続けるのもではなく、どんなに時がたっても変わらず「なまもの」であり続けるフィルムのあり方に私たちは共感しており、この作品にはフィルムがふさわしいと思っています」
クラウドファンディング実施期間中には、塚田監督の過去作や、他の監督の作品のオンライン上映会やトークイベントを開催予定だ。『刻』と同じ手法で撮影されたパイロット版『満月』もリターン特典として鑑賞可能だ(2万円以上)。神戸を舞台に地元に住む演技未経験者との半年に及ぶ即興演技ワークショップを経てトータル2年をかけて完成させ、公開から5年経った今でもファンを増やし続けている濱口竜介監督『ハッピーアワー』のように、演者となる学生たちと時間をかけて信頼関係を深め、その成長をフィルムに焼き付ける『刻』は途方もない可能性を秘めている。ぜひ、このチャレンジに参加し、その行方を見守ってほしい。
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