井の頭公園で『ラ・ラ・ランド』!?青春音楽映画『PARKS パークス』

一度観たら頭から離れないメロディー。私にとって今年のルーティーンミュージックは大ヒットミュージカル『ラ・ラ・ランド』のテーマなのだけど、もう一つ、頭から離れないメロディーがある。

「ポップミュージック~止まらないストーリー~」と公園の風に乗って聞こえてくる軽やかな歌声。橋本愛演じる『PARKS パークス』のヒロイン純が、試行錯誤しながら60年代に遺されたオープンリールのテープに録音された曲を完成させていく、そのサビの部分だ。

吉祥寺にある井の頭公園100周年を記念して作られたこの作品、監督はポップで風を感じる作風に定評がある瀬田なつき。実は鈴木清順監督が大好きだと言う瀬田監督は、清順監督の観客の想像を裏切る展開に魅力を感じ、編集の際には意識をしているのだとか。ビートルズが上陸する前の60年代前半の音楽を再現したり、現代のバンド音楽、フェスの様子、公園での弾き語りと音楽シーンは盛りだくさん。そのクライマックスとなるのが、将来はミュージカルにチャレンジしてみたいという瀬田監督お気に入りの公園のシーンで、ちょっとハッとするような仕掛けがある。日本版『ラ・ラ・ランド』みたいな!?音楽の楽しさ、公園の楽しさがぎゅっと詰まった吉祥寺をはじめとする中央線ミュージシャン集結の青春音楽映画。留年目前の女子大生役というちょっとだらしないところが、いつになく新鮮、でも意外とこれが地なのかなと思わせる橋本愛や、つかみどころのない感じが瀬田作品に馴染む永野芽郁、そして『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』で主演の石橋静河が60年代前半の女子大生役を好演と、爽やか女子たちのアンサンブルも心地よい。そこにピリリと効く染谷将太演じるトキオのフリースタイルラップも見どころ。舞台挨拶では「大阪でも公園映画を作りたい!」という瀬田監督。ぜひぜひ、なんばパークスシネマか大阪城公園あたりで、作ってほしいものだなぁ。