2022.06.22 14:02『彼女たちの革命前夜』70年代イギリスのフェミニズム運動家が切り込んだ「ミス・ワールド」 アメリカのフェミニズム運動のパイオニア、グロリア・スタイネムの人生を描く『グロリアス 世界を動かした女たち』、世界初の女性映画監督でありながら、長年消された存在と言われてきたアリス・ギイの人生とその足跡をたどる『映画はアリスから始まった』と、今年、フェミニズム映画が続々公開され...
2022.01.26 08:03『名付けようのない踊り』田中泯がみせる魂の表現 ダンサーとしての田中泯の活動になかなか触れる機会のないまま、俳優としての田中泯の底知れぬ存在感にいつも圧倒されてきた。わたしが俳優、田中泯を知るきっかけだったのは『メゾン・ド・ヒミコ』だが、その犬童一心監督が、以降交流を重ね、今回2017年8月から2019年11月までの世界各地...
2022.01.13 13:06『あした、授業参観いくから。』忘れがたい日が焼き付ける親子の情景 『あした、授業参観いくから。』というタイトルと、片岡礼子扮する英語教師のトップ画像を見て、本作の安田真奈監督の着眼点にさすが!と思った。短編を撮り続けてきた会社員時代を経て、劇場デビュー作となる『幸福(しあわせ)のスイッチ』(06)で電器屋父娘の物語を人情味豊かに描いた安田監督...
2021.11.08 03:34『我が心の香港~映画監督アン・ホイ』香港で”映画を続ける”人生に迫る 今年の大阪アジアン映画祭のオープニング作品として上映された『我が心の香港~映画監督アン・ホイ』が、映画祭での上映から1年以内に日本で劇場公開される。これは異例の速さだ。原題は"Keep Rolling"、そして映画祭タイトルは『映画をつづける』だった。一人の映画監督を追ったドキ...
2021.10.28 10:14『スウィート・シング』大人の弱さ、子どもの逞しさを包み込む詩 モノクロームの画像、懐かしい60〜70年代の音楽の数々に彩られ、学校にもいかずに日銭を稼ぐ姉ビリーと弟のニコの日常がイキイキと映し出される。時はクリスマス、父はサンタのバイトをし、ビリーはニコに秘密でプレゼントを用意して・・・と貧しいながらも微笑ましく見えるのは表面上だけ。家を...
2021.10.11 09:16『最後の決闘裁判』今まで語られなかった視点があぶり出す”真実” 裁判と決闘。どちらも白黒をつけるものだが、片や法にのっとり、片や文字通り命がけであり力づくの闘いだ。そんな真逆に思える決闘が合法化され、決闘の勝者が裁判で勝者とされていた時代があった。本作は、14世紀パリで実際に起き、当時民衆たちの大関心事となり、それ以降も歴史家や法律家たちの...
2021.09.22 13:21『アイダよ、何処へ?』家族を助けたい!国連軍通訳者の母の視点で描くボスニア集団虐殺 『サラエボの花』(06)では、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争下で悲痛な体験をしたボシュニャク人女性が、その後シングルマザーとなって娘を育てる中、自らのトラウマと向き合えるようになるまでを描うたヤスミラ・ジュバニッチ監督。『サラエボ、希望の街角』(10)を経て、10年ぶりの最新作『...
2021.09.22 08:36『MINAMATA―ミナマタ―』アウトサイダーが切り取った人々の苦しみと人間の尊厳 世界はもちろんのこと、日本でも不動の人気を獲得しているジョニー・デップ。私もファンの一人だが、そのジョニーが日本の四大公害病の一つ、水俣病を題材にした映画をプロデュースすると知り、ロケ中の動向も含めて注目していた。昨年2月に開催されたベルリン国際映画祭で世界初上映され、その記者...
2021.09.21 01:49『クーリエ:最高機密の運び屋』キューバ危機を救った男たちの友情と葛藤、平和への志 第二次世界大戦後、冷戦時代を迎え、CIA(アメリカ中央情報局)やMI6(英国秘密情報部)、そしてKGB(ソ連国家保安委員会)などの諜報機関による人的なスパイ活動を題材として映画化された例は数多い。今なら、ハッカーが幾重ものセキュリティ対策をかいくぐり、インターネット上の重要機密...
2021.09.18 23:42『由宇子の天秤』あなたに突きつけられる現代版"羅生門"の誕生 低予算映画『かぞくへ』の優れた内容で、映画ファンや日本映画界の関係者から絶大な支持を受けた春本雄二郎監督。その長編第2弾となり、第71回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品されるなど、すでに国内外でも高く評価されている衝撃の問題作『由宇子の天秤』が...
2021.09.06 12:53『ミス・マルクス』怒りを込めたロックが鳴り響く、あるヒロインの半生 ここのところ様々な分野での女性の先駆者たちの半生を力強い作品が増えてきた。それは、中には偉大なる夫の陰で、支えてきた妻であったり家族という例も多い。実際は妻が書いたものなのに、夫の名前で出版されることもざらにあったのが、つい1世紀ぐらい前までのことだった。本作では「資本論」で知...
2021.08.20 21:06『まっぱだか』観客に突き刺さる"リアル"がある映画 MOOSIC LAB参加作品『1人のダンス』『追い風』でもお馴染みの安楽涼監督と、同じく、映画製作と俳優を続ける『轟音』の片山享監督が共同でメガホンをとり、元町映画館の10周年記念作品となった映画『まっぱだか』。その上映が2021年8月21日より、つい...