『世界にひとつの金メダル』馬好きにはたまらない!
オリンピックへの挑戦を描いた実話に基づく物語は数あれど、馬が主役となる映画は珍しいだろう。その昔、カナディアンロッキーで2泊3日馬乗りツアーに参加。一瞬だが人馬一体となって山の中を駆け抜けた記憶が未だに残っている私にとって、馬も主役という映画は惹き込まれずにいられない。
日本ではあまりオンエアされることのない「障害飛越競技」で金メダルを目指す主人公ピエールと相棒馬ジャップルーの物語。ちなみに原題は『Jappeloup』なので、いかに伝説の馬となっているかが分かる。このジャップルーは、最初からオリンピックに選ばれるような優等馬だった訳ではない。むしろその逆。じゃじゃ馬系で、人の方が振り回されてしまい、決まったルートを走らず逃げていってしまう。でもピエール(ギョーム・カネ)はジャップルーの素質を見抜き、世話係のラファエル(ルー・ドゥ・ラージュ)と共に障害飛越競技のできる馬へと訓練を重ねていく。
ピエール自身も一度は障害飛越競技でフランス代表になる夢を諦め、弁護士となった身。ジャップルーとの出会いだけでなく、もう一度競技へ復帰する夢を応援する妻ナディア(マリナ・ハンズ)の存在も大きな力となっていく。
ギョーム・カネ自身が競技馬術の選手を目指していただけに、本作の脚本も自ら執筆するだけでなく、乗馬や競技シーンも吹き替えなし。その迫力は素晴らしい。またロスアンゼルス、ソウルと2度のオリンピックの本番シーンも再現、スタジアムの様子や装飾も国のカラーが現れていて楽しめる。
最後の見どころは、これからどんどん出演作が日本で紹介されるであろうラファエル役のルー・ドゥ・ラージュ。本作ではとても健康的で真っ直ぐな印象を受けるが、8月公開されるアンヌ・フォンティーヌ監督『夜明けの祈り』では、第二次世界大戦後ポーランドの修道院で起きた実話を基に、修道女たちに希望の灯りをともしたフランス人女医マチルダを演じ、芯の強い、凛とした人物像を体現している。ぜひ、ご注目を!
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