ベルリン国際映画祭で認められたホアン・ジー監督最新作『フーリッシュ・バード』、福岡国際映画祭で日本初上映

ホアン・ジー監督と共同監督、撮影の大塚竜治さんとは、2013年春の大阪アジアン映画祭にて初監督作『卵と石』が上映されたときにお会いし、上映前の短い時間ながら作品の背景を伺ったり、お二人と赤ちゃんの家族写真を撮った記憶がある。『卵と石』は農村部を舞台に、母が出稼ぎに行くため、一人叔母宅に預けられた少女の孤独を描いた「留守児童の性問題」三部作の第一部。少女の内面を掘り下げる描写は、どこか中国のワン・ビン監督を想起させる。自らのトラウマに向き合うために作っていると語ったホアン・ジー監督。そのふんわりとした雰囲気とは裏腹に、同じ女性だから描ける大胆な描写も辞さない、勇気のある監督なのだ。(下のリンク先記事内に『卵と石』レビューを執筆)

そんなホアン・ジー監督×大塚竜治さんの最新作で、第67回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門の14プラスでスペシャルメンションを受賞した『フーリッシュ・バード』が9月に開催されるアジアンフォーカス・福岡国際映画祭で日本初上映される。

今回は前述した「留守児童の性問題」三部作の第二部。今回も一人祖父母宅で過ごす少女が主人公。学校でもいじめられ、居場所のなくなった少女は盗んだスマホを売ったことから、見知らぬ男と出会い、心の拠り所を見つけていく…。予告編を見れば、少女がどのような目に遭うのか想像はつくが、現代社会で弱き者の性が搾取されていく。その体験を少女はどう受け止めるのか。救いの手はあるのか。少女たちの内面をみつめた第二部、まずはアジアフォーカスで、できれば関西でも上映してほしいな。


『フーリッシュ・バード』

主演:ヤオ・ホングイ(『卵と石』)

監督・脚本:ホアン・ジー、大塚竜治

撮影:大塚竜治

編集:リャオ・チンソン(『恐怖分子』『黒衣の刺客』)

音楽:リン・チアン(『罪の手ざわり』『黒衣の刺客』)

プロデューサー:シュウ・シャオミン(『藍色夏恋』『その夏に抱かれて』)

製作:Yelow-Green Pi / Coolie Films