5回目を迎える「なら国際映画祭2018」、審査員長は『エリザのために』クリスティアン・ムンジウ監督に決定!ユース審査員部門も新設してパワーアップ
2008年のプレイベントからスタートし、2010年から映画作家の河瀬直美をエグゼクティブ・ディレクターに迎えて始まった「なら国際映画祭2018」。以来、多くのボランティアスタッフが運営に携わりながら、2年に1度のペースで開催してきた。世界の若手映画監督の新作を日本に紹介するだけではなく、コンペティション部門の最高賞『ゴールデンSIKA賞』受賞者には、奈良を舞台にした映画を製作するプロジェクト「NARAtive」での製作権を与え、なら国際映画祭発となる映画をコンスタントに作り続けている。まさにクリエイティブな国際映画祭として、数ある日本の映画祭の中でも稀有な存在なのだ。
■文化が人々の心を豊かにし、生きることを喜び合える国際的な祭典へ
今年で5回目の節目を迎えるにあたり、『エリザのために』クリスティアン・ムンジウ監督が審査員長に決定。NARA-wave(学生映画部門)審査員には永瀬正敏さんが選ばれた。河瀬直美エグゼクティブディレクター(以下河瀬氏)は、「映画祭は地域の人たちが主役です。奈良に映画作家をお招きして、文化が人々の心を豊かにし、生きることを喜び合える国際的な祭典にできればと思っていました。今までに40本の日本初上映作品を奈良で紹介することができたのは、私たちにとっては誇りです」と、現在までの歩みを振り返った。
■ユース審査員部門を新設、自分の見方ができる子どもを育成する
映画祭の今年のテーマは『RE:CREATION』。ユース部門の新設や、東大寺金鐘ホールでの上映を開催する。ユース審査員部門の新設では、ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門とパートナーシップを結び、ベルリン国際映画祭推薦作及び、こちらも提携しているショートショートフィルムフェスティバルアジアの全10作品をラインナップ。既に公募で選ばれたユース審査員が会期中に審査会を開き、最優秀賞を決定する。
映画祭スタート当初からの念願だったという河瀬氏は「ベルリン国際映画祭では以前からユース審査員を設けていますが、決して子どもだからといって分かりやすい映画を見せたりするような“子ども扱い”はしていません。きちんと自分の物の見方を養い、自分の意見を言える子どもが育っています。ベルリン国際映画祭とのパートナーシップを結び、節目の年に思い切って始めました」とその狙いを語った。 さらに、今年は8月に子どもたちが企画から撮影、編集まで行い、9月23日に東大寺金鐘ホールで上映を行う「ユース映画制作ワークショップ with こども映画教室」を開催。東大寺で映画祭の上映をするのは今年が初めてで、節目の年ならではの趣向となっている。
■映画祭は世に出ていない才能を発見し、映画祭を扉に世界に羽ばたいていく場
インターナショナルコンペティション部門も、スペイン、アルゼンチン、フランス、ウルグアイ、ノルウェー、カナダ、ネパール、メキシコ、ニュージーランド、中国、韓国、日本と1000を超える応募作の中から選ばれた若手作家の力作が揃い、見逃せない。また、小田香(『鉱 ARAGANE』)、藤元明緒(『僕の帰る場所』)らが世界に羽ばたくきっかけとなったナラウェイブー学生映画部門ーでは、日本のみならずドイツ、台湾、ポルトガル、イランの4カ国からも学生監督の作品が選出されている。河瀬氏は「映画祭とは、まだ公開していない作品、まだ世に出ていない才能を発見できる場。映画祭で出会い、そこを扉に世界に羽ばたいて行く場です。字幕を付ける作業は映画祭運営の中でもお金がかかる事の一つですが、日本未公開の海外作品に日本語字幕を付けること、そして学生作品に英語字幕を付けることは絶対にやるようにしています」と自身の作品がかつてヴィジョン・デュ・レール映画祭(スイス、ニヨン)で学生時代の自主制作作品も全て英語字幕を付けてもらい、現在ライブラリーで保管されていることに触れながら、映画祭や地域の映像資産になりうるために必要な作業についても触れた。 他にも以下の催しが行われる予定だ。
- ナラティブ2018
- 春日大社 奉納上映
- シネヴィジョン クリスティアン・ムンジウ×別所哲也(インタビューアクターズスタジオセッションの奈良版)
- カンヌ映画祭招待作品
- 星空上映会
- ならアートナイト「銀幕の庭」
- 尾花座 復活上映会
- 自転車発電上映会
- シネマインターン
チケット発売詳細、スケジュールは8月下旬に発表予定。
なら国際映画祭2018
会期:2018年9月20日(木)〜24日(月・祝)
会場:奈良県文化会館、ならまちセンター、奈良国立博物館、ホテルサンルート奈良、春日大社、東大寺 金鐘ホールほか
公式サイト:http://nara-iff.jp/2018/
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