怪獣造形界のレジェンド、村瀬継蔵が登壇!『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』で幻のプロット映画化までの長い道のりを語る@第19回大阪アジアン映画祭
第19回大阪アジアン映画祭特別招待部門作品として、3月2日シネ・リーブル梅田(大阪市北区)にて『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』が世界初上映され、村瀬継蔵総監督、プロデューサーの佐藤大介さんが舞台あいさつで登壇した。
映画化の経緯について村瀬総監督は、
「1970年代、香港のショウ・ブラザーズで特撮映画『北京原人の逆襲』(1977)に怪物造形で携わっていたとき、当時のプロデューサーに勧められ、毎晩11時から午前3時ぐらいまで2年間、仕事をやりながら脚本を書いていました。ショウ・ブラザーズで撮りたいと言われながらも、1985年に同社が映画製作を停止したことで、映画づくりは宙に浮いてしまい、そのまま日本に帰国。脚本を寝かせたまま40年以上が過ぎたころ、本作のプロデューサー、佐藤大介さんにも声をかけてやりはじめたのがきっかけです」と説明。
2017年から準備をはじめたという佐藤プロデューサーは、当時のプロットをそのまま使うのではなく現代に合うようにアレンジする過程で、村瀬総監督の「今の子どもたちが楽しめるように」という要望を取り入れたことや、元々のプロットの原型がなくならないような構成にしたことを明かした。
本作の主題歌として、DREAMS COME TRUEが書き下ろしの新曲「Kaiju」を提供してくれたことも奇跡のようだと語る村瀬総監督。実は、監督とボーカルの吉田美和はワインで有名な北海道池田市出身の同郷人。「物語の中にも池田市の要素がありますが、お二人にお会いすると、吉田さんは私の実家もご存知で、『私たちも一緒に協力していい作品になったらいいですね』と言ってくれました。中村正人さんも『村瀬さんと組めるなら、僕たちに主題歌を作らせてくださいよ』と言ってくれ、本当にやってもらえるならとお願いしました。ありがたいという気持ちがありますね」。さらに佐藤プロデューサーも「自主映画からスタートし、最初に斎藤工さんが『出演していいですよ』と声をかけてくださったので、それならと製作体制を変えていきました」と村瀬監督と一緒に映画を作りたいと熱望する映画人たちのサポートが、コロナ禍を乗り越えて映画を完成させる力になったと感謝を込めた。
『日本誕生』(1959)のヤマトノオロチや、『北京原人の逆襲』の北京原人の中に入っての驚愕のスタント秘話も披露し、次回作にも意欲を見せた現在88歳の村瀬総監督。最後に「村瀬が子ども達を引き込むような映画を作るということで、ぜひ見てみたいという方が増えてきています。ありがたいという言葉しかありません」とあいさつし、満席の観客からの拍手に笑顔で応えた。
『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』は2024年夏、全国劇場公開
公式サイト https://www.kaminofude.com/
第19回大阪アジアン映画祭は3月10日まで開催中。
詳しくはhttps://oaff.jp まで。
(江口由美) Photo by OAFF
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