閉経期女性の出会いと解放を描く『ジョンオク』、大人の世界を垣間見る 『スウィート・ライム』ほか、OAFF2024で短編プログラムが上映開始!
3月10日まで開催中の第19回大阪アジアン映画祭で、大阪中之島美術館にて短編プログラムの上映がスタートし、3月2日の短編プログラムDにてタイ映画『さよならの言い方』、韓国映画『ジョンオク』、香港・イギリス合作映画『スウィート・ライム』、中国映画『楽園島』が上映され、『ジョンオク』のユ・ジミン監督と『スウィート・ライム』のファティマ・アブドゥルカリム監督が来場した。
部屋の窓辺でそっと涙を流す主人公ジョンオク。閉経したので買い溜めていた生理用ナプキンはもはや捨てるしかないと思っていたが、夫に勧められネットで買い手を探したところ、取引に現れたのは初潮を迎えたばかりの少女チスだった。
「閉経を迎えたジョンオクと初潮を迎えたチスのロードムービー」と表現した『ジョンオク』のユ・ジミン監督。構想のきっかけを聞くと、
「わたし自身、更年期を迎えた女性たちに興味を抱いていました。なぜなら、いずれはわたしがこれから歩む道だからです。元々、母や叔母、父など先を歩いている大人たちを観察することが好きで、わたしのような若い人間からすれば、生理があることは煩わしいし、イライラするので、それが終わったら晴れ晴れしたり、ほっとするものかと思っていたけれど、実際にはそうではないかもという疑問がずっとありました。この作品は、更年期で閉経を迎えた母やその年代のみなさんに捧げる作品なのです」と、実は母にもそのことは打ち明けていないと言いながら、その想いを明かしてくれた。
夫が良かれと思ってやってくれていることに気乗りがしないジョンオク、その奥にあるのは閉経をめぐる不安や一抹の寂しさであり、チスとの出会いと思わぬ出来事が、生理に関して不安を抱える者同士で心を通わせ、視界が開けていく。今まで映画で語られなかった閉経時の不安や不安定な精神状態に着目した、これからのスタンダードになりそうな一本だ。
「女性を別の視点から撮りたい」と挨拶した『スウィート・ライム』のファティマ・アブドゥルカリム監督。『ジョンオク』をはじめとする同じ短編プログラムの他作品のユニークさに感銘を受けたとコメントし、お互いの作品の感想を言い合うなど、このプログラムならではの交流が行われた。自身の体験を元に描いたという本作では、11歳の少女、ファティマが若くして結婚し、子どもを生んだ叔母と母の会話から、大人の事情を知り、子どものままではいられない揺れ動く心を描く濃密な短編。こちらも空港から海へと移動するロードムービーになっており、女性3人それぞれの心の動きを的確に描写している。
短編プログラムDは、3/7(木) 13:00より大阪中之島美術館 1Fホールにて2回目の上映が行われる予定だ。来場ゲストは以下で確認してほしい。
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