懐かしの映画館オープニング作品も再上映!元町映画館9周年特集上映「山形国際ドキュメンタリー映画祭傑作選」を8/17より開催


 8月21日に9周年を迎える元町映画館。個性的な周年記念の特集企画は、今や神戸の夏の風物詩となっているが、今年は10月に山形県で開催予定の「山形国際ドキュメンタリー映画祭」(YIDFF)が30周年を迎えることを記念し、山形国際ドキュメンタリー映画祭の傑作選を特集する。


 8月17日(土)~8月23日(金)の1週間に渡って行われる上映作品は、当館の創業メンバーでもあり、オーナーでもある現役医師でもある堀忠が作品選定を行った傑作ドキュメンタリーが勢揃いしている。元町映画館のオープニングを飾った『要塞』(08 スイス)を9年ぶりに上映する他、30年に及ぶ国家プロジェクトとして完成した284分の超大作『スクリーンプレイ:時代』(93 ドイツ)を含めた5作品がラインナップ。世界の様々な問題を映し出した作品たちは、時を超えて現代社会にも通じる問題を真摯にみつめている。山形国際ドキュメンタリー映画祭で日本に紹介されて高評価を得ながらも劇場公開されず、観る機会がほとんどなかった今も色褪せない作品たちを、ぜひ神戸で堪能してほしい。


上映作品とその見所を、掘さんのコメントと共にご紹介したい。


『スクリーンプレイ:時代』(1993年 ドイツ 284分)

監督: バーバラ・ユンゲ、ヴィンフリート・ユンゲ

1961年にベルリンの壁が作られた直後から、ゴルツォウという小さな村の子供たちを30年に渡って追った壮大な記録映画。カメラは入学、卒業、就職、結婚、壁の崩壊後の子供たちを追う。子どもたちを通してドイツの歴史を描いた本作は、旧東ドイツ最大のフィルムスタジオDEFAの映画史にもなっている。 

掘さんコメント:

 30年にわたる取材が国家的プロジェクトとして続けられた、良くも悪くも社会主義経済なしには今後再びはまず作られない映画。作っている当人、写る子どもたち、誰もいまこのプロジェクトを可能にしているシステムそのものがなくなってしまうとは思ってもいなかった。そして「崩壊」後を撮ったエピローグを経て、現代までがまた30年。私たちが永遠に続くように錯覚している「この」社会システムを相対化する、見直すきっかけにもなる映画だと思います。  


『阿仆大(アプダ)』(2010年 中国 145分)

監督:和淵(ホー・ユェン)

中国雲南省北部。少数民族ナシ族の農夫阿仆大は、老いて体の自由のきかなくなった父親と二人暮らし。暗い室内で薄明かりをたよりに、父が服を着て、煙草に火をつけ、床の上に起き上がるのを助ける。阿仆大は、父の介護のかたわら、果樹の手入れや水汲みにいそがしい。山の奥深い村に生きる父子を、悠揚たるリズムと深みのある映像で見つめ、生と死のドラマを映し出す。 

掘さんコメント:

 人間の死生について、別の在り方を考えるためには別の時間の流れの中に入らなければならない、そのために必要な最小限の時間なので、終わってみるとアっという間。人が老いを迎えて、「自然に」死を迎える数日間を、これだけ余計な手出しを一切せずに見届けた人は、日本でよほどの終末期医療の専門家でもまずいないのでは。 


『殊勲十字章』(2011年 アメリカ 62分)

監督:トラヴィス・ウィルカーソン


意気揚々と語られるベトナム戦争の体験が、宗教画のような構図と小説のような章立て構成に括られる。

掘さんコメント:

国家的プロジェクトの遺産『スクリーンプレイ:時代』とは対極の、ホーム・ムーヴィーの極北。久しぶりに集まった子どもたち(作家)とワインを傾けながら父親がただただ語る、ベトナムでの武勇伝、あるいは蛮行の数々。  


『要塞』(2008年 スイス 105分)

監督:フェルナン・メルガル

スイスの難民受け入れ施設。そこには亡命を希望する人々が、当局の決定を待つ間一時的に収容されている。様々な理由で故国を離れ、生きる場所を求めて世界中から流れ着いた者たちと、受け入れの是非を検討する職員たち。施設内に生まれるささやかな交流。日常的に“選別”が行われている場を見つめ続けることによって、今日の難民問題の現実を浮き彫りにする。

掘さんコメント

「元町映画館」オープニング作品の9年ぶりの再上映。少女の「症状」をみる観客の、あなたの目線がどこにあるかが問われる。9年たって、「世界」はどのように変わってきたのか、こなかったのか。 


『革命の歌』(2006年 フィンランド 80分)

革命歌を歌う熟年者たち。学校、図書館、スーパーや夜の街で堂々と歌う彼らは一体何者なのか? 1960年後半、理想主義に燃え社会主義運動に触発された歌と数々の音楽グループが誕生した。40余年を経て、若く美しい活動家だった彼らも今は中高年に。揚々と歌う当時の姿と現在の職場などでの歌いっぷりをあわせ見せ、「よりよい世界」を求めていた時代を懐かしみ風刺する。

堀さんコメント:

1960~70年代にフィンランドの若い世代を席巻した、「政治歌謡運動(ポリティカル・ソング・ムーブメント)」と、かつての若者たちの40年後。左派の時代、「歌謡運動」も分裂や「党派間」抗争を経験します。同じ時期の日本や中央ヨーロッパで展開された抗争の血なまぐささをやや離れたところから、20世紀後半の左派が持っていた体質や限界を振り返ることができる、かもしれませんし、おとぎ話のような運動のありかたや展開に笑ってしまうかもしれない、それが見るひと次第なのがドキュメタリーの魅力のひとつ。 

元町映画館9周年×YIDFF30周年 傑作選 「山形国際ドキュメンタリー映画祭傑作選」 

開催期間:2019年8月17日(土)~8月23日(金)※休館日なし 

料金:一般1500円 ※『スクリーン・プレイ』のみ2200円均一。割引不可。

    学生(学生全般) 1000円 高校生以上の方は学生証をご提示ください。 

    シニア(60歳以上) 1000円 年齢が証明できるものをご提示ください。  

   神戸映画サークル会員 1300円 会員証をご提示ください。  

   レディースデイ 1100円 毎週火曜日(女性のお客様のみ)  

   メンズデイ 1100円 毎週水曜日(男性のお客様のみ) 

   夫婦50割引 ご夫婦で2200円 (ご夫婦どちらかが50歳以上)

会場:元町映画館(兵庫県神戸市中央区元町通4丁目1-12) 

主催:元町映画館 

後援:山形国際ドキュメンタリー映画祭  

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