大阪アジアン映画祭で話題を呼んだ『Sisterhood』(OAFF2017『姉妹関係』)、We Are One: A Global Film Festivalで1週間限定配信中


 21もの国際映画祭が参加し、5月29日(日本時間では5月30日深夜)から開催中の10日間におよぶデジタル映画祭「We Are One: A Global Film Festival」。大阪アジアン映画祭2017で『姉妹関係』というタイトルで上映され、主演女優の一人であるフィッシュ・リウが來るべき才能賞に輝いた香港・マニラ合作の「Sisterhood」(骨妹)が、マカオ国際映画祭キュレーション作品として6月2日にオンラインプレミア上映され、Youtubeの「We Are One: A Global Film Festival」にて1週間アーカイヴ配信中だ(英語字幕のみ)。


 中国に返還前のマカオと、現在の台湾。2つの時代、2つの場所で紡がれる物語は、大ヒット韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のようにあの頃の輝いていた日々と、15年後の今、心に大きな穴を抱えて生きる日々を対照的に映し出す。マカオがポルトガルから中国に返還される日に、リンに衝撃的なことを言い渡され、決定的な別れを告げて台湾人青年の求婚を受け入れ、逃げるように台湾に渡ったセイ。まだ若かった二人は、マッサージ店の先輩後輩から、いつしか共に暮らし、リンが産んだ父親の分からぬ子どもを我が子のように二人で育てていた。二人で永遠に一緒に生きると思っていた日々は、周りからの偏見、そして相手にとって本当の幸せが何なのかという問いが浮かんだ時、泡のように消えていく。


 心に大きな穴が空いた人生を救うのは、きちんと過去に向き合うこと。リンの訃報で15年ぶりにマカオを訪れたセイが目にする現実に、今まで止まっていたセイの心の中の時計も動き出す。Sisterhoodという女性同士の、どちらかといえば精神的に親密な関係とその永遠性を真正面から描いた作品。90年代後半のヤングパートで瑞々しい魅力を放つフィッシュ・リウ、ジェニファー・ユーと、現代パートで苦しみながらトラウマのような過去に向き合っていくジジ・リョンにもぜひ注目してほしい。ちなみに本作のトレイシー・チョイ監督はリム・カーウァイ監督とプラネット・プラス・ワン代表の富岡邦彦氏が立ち上げ、2014年に開催された「マカオ映画祭 in 大阪」にて、カミングアウトするレズビアンとその家族に迫る中編ドキュメンタリー『箪笥の中の女』(櫃裡孩 I’m Here)が上映されている。近年は監督作がないだけに、この機会にぜひ、愛する思いを胸に秘め、別々の人生を歩まねばならなかった女性たちの物語に触れてほしい。