主演・監督の活弁映画でクラウドファンディングを実施中の辻凪子、活弁デビューを映画チア部が絶賛!〜第一回活弁公演「ジャムの月世界活弁旅行」神戸編


 俳優・監督の辻凪子が活動弁士大森くみこと現在撮影準備中の活弁映画『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』にて、12月31日までクラウドファンディングを実施中だ。映画製作を前に活弁の魅力を紹介する第一回活弁公演「ジャムの月世界活弁旅行」が11月14日に元町映画館に開催された。満席の客席を前に、クラッシックな黒いドレススタイルの大森くみこと大きな丸メガネスタイルの辻凪子扮する『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』の主人公、JAMが登壇。元町映画館から月に旅行するという設定で、幕間に二人の掛け合いを交えながら、全4本の活弁上映が行われた。



 伴奏者は元町映画館での演奏は初となる天宮遥。1本目のD・W・グリフィス『迷惑帽子』(09)は大森の軽やかな活弁で見事なサイレント時代のマナーCMに。 2本目のサイレント初期の傑作、ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』(02)で辻が活弁デビュー。登場人物が多いこの物語を息つく暇もなくキャラクターを演じ分けながら、関西弁の決め台詞も入れて、ぐっと親しみやすく楽しい作品として蘇らせる。3本目の『ぱん。』(17)は辻と阪元裕吾が共同監督を務めた作品であり、辻が主演を務めたパン屋が舞台の現代劇だが、今回は音を消して天宮のピアノ伴奏に辻と大森の活弁の掛け合いという新バージョン。活弁にすることで臨場感も面白さもぐっとアップ。映画のクライマックスは『月世界旅行』との親和性もあり、新しい発見も笑いもたっぷり。そして4本目はバスター・キートンが監督主演の『キートンの探偵学入門』(24)を大森の活弁でたっぷりと。凝った構成にアクロバティックな動きに目が釘付け。個性的なキャラクターたちを演じ分けるプロの活動弁士の真骨頂を見せてくれた。



 上映後には、若い世代にミニシアターやインディペンデント映画の魅力を伝える宣伝活動や自主上映会を企画している元町映画館を拠点に活動中の学生団体、映画チア部神戸支部の高橋桂乃子が登壇。大森、辻とトークを展開した。初めての活弁体験がOSシネマズ神戸ハーバーランドで開催された大森が弁士を務めた『雄呂血』(阪東妻三郎主演)だったという高橋。「活弁の持っている臨場感に圧倒された。普通はスクリーンで見る側と分かれているが、活弁は大森さんと一緒に映画を作っているような感覚になり、(スクリーンに映っている)阪妻との距離も縮まりました」と活弁体験の感動を語った。さらに「IMAXや4DXのライブ感も体験しているけれど、こんなにアツいものがあるなんて」とシネコンの最新音響にも負けない体験であることを力説。この日の活弁ライブについては「『月世界旅行』は出てくる人はおじさんばかりなのに、きちんとそれぞれ声色を変えているのがすごいと感激」と辻の熱演を称えた。この日のために大森の指導により練習を重ねた辻は、10月に行われたものよりさらに脚本をブラッシュアップし、新たなネタを盛り込んだという。高橋は「辻凪子ワールド全開ですごく面白かった」と絶賛した『ぱん』に加え、今回初体験だったバスター・キートンについても感動しきりだった様子。「キートンの身体能力に驚きました。スタントマンやCGのない時代はこういう人たちが映画を支えていたんですね」。そこで大森も給水塔のシーンを撮影中に、すごい勢いの水を浴びたキートンが首の骨を折って撮影が中断したというエピソードを披露、「サイレント映画のコメディアンはアクションスターも兼ねていました」。



 映画を勉強し始めた頃に大森が弁士を務めた活弁を見たことがずっと心に残り、活弁の映画を作ろうと思ったという辻は、「もっとみんなに活弁に出会ってもらいたい、その魅力を知ってもらいたい」と現在取り組み中のクラウドファンディングを紹介。現在脚本を執筆中で、「キートンを見て、やりたいことが浮かびました。映画の中に出たり入ったりし、客席と映画を融合させたり、お客様との掛け合いや応援してもらうような企画を色々と考えています」とアイデアが膨らんでいることを明かした。



 クラウドファンディングは3000円から20万まで選べるようになっており、大森が活弁を3回シリーズで指導するリターン(18万円)や、辻があなたのために脚本を書き短編を作るリターン(20万円)も用意されている。すでに元町映画館で上映が決定しており、辻は「完成したら釜山国際映画祭でのワールドプレミアを目指し、全国のミニシアターに巡業したい」と抱負を語った。

 最後に高橋から「活弁は伝統芸能で本来は古いものだが、最近の映画にはない魅力がぎゅっと詰まっている。その魅力がより感じられるのは若い世代で、私が体験した感動を若い世代に届けてほしい。映画チア部も応援していくつもりなので、みなさんもチア部SNSをフォローしていただいて、一緒に応援していただければ」と応援宣言。大森も「#アイアムジャムで今日の感想のツイートをお願いします!」と観客に呼びかけた。


  • 元町映画館前で辻凪子、大森くみこ、天宮遥と活弁映画『I AM JAM』の岡本プロデューサー、映画チア部メンバー、元町映画館スタッフで記念写真

活弁映画『I AM JAM』製作プロジェクトクラウドファンディング

https://motion-gallery.net/projects/iamjam