ミニシアターでロングラン上映中の『ひとくず』がついになんばパークスシネマで拡大公開!上西監督、出演の木下ほうかに感謝しきり。
劇団10ANTSを主宰し、俳優、脚本家と多方面で活躍している上西雄大が監督・脚本・編集・プロデューサー・主演を担当した映画『ひとくず』。昨年の3月に東京公開されたが、コロナウィルス感染拡大の緊急事態宣言で上映が中断し、京阪神での公開は10月と大きくずれ込みながらも、テアトル梅田を皮切りに、京都みなみ会館、第七藝術劇場、元町映画館と上映が続いている。子ども時代に虐待を受けた者が、虐待する側にまわる負の連鎖に着目し、孤独な魂が寄り添い、家族になるまでの日々を人間味たっぷりに描く骨太のヒューマンドラマを見て感動した観客が『追いくず』という熱烈なリピーターになる現象が話題を呼び、さらにその熱気により、第七藝術劇場のセカンドランのシアターセブンでは3か月に渡るロングラン上映が続いている。
新型コロナウィルスの影響で開催中止となったおおさかシネマフェスティバル2021では、今後を期待される大阪・関西拠点に映画制作活動する若い層を激励するワイルドバンチ賞を見事受賞した『ひとくず』。今年に入って東京、神戸、京都でのアンコール上映および、全国で拡大公開も始まり、遂にシネコンのなんばパークスシネマでの上映が始まった。
拡大公開記念でなんばパークスシネマ公開初日の2月19日に行われた舞台挨拶では、上西雄大監督、木下ほうかさん、徳竹未夏さん、古川愛さんが登壇。感染拡大防止で50%の減席ながら最大スクリーンでの上映でリピート13回の『追いくず』なども含めて200人を越える満席での熱気溢れるスタートとなった。満席の客席と今までにないシネコンの巨大なスクリーンを見て感極まった様子でお礼の挨拶をする上西監督に、木下ほうかが「1シーンしか出ていません。気まずい、なんで呼んだん?」と絶妙なツッコミ。主人公の母親役の徳竹未夏さんと娘を虐待する母親役の古川藍さんの二人が司会役となり、上西監督に木下ほうかとの出会いを聞きだすと
「僕がこの映画を作ろうとし、劇団員の前で『木下ほうかさんに出てもらいたい』と言ったとき、夢のような話だと思って誰も信じなかった。ほうかさんに脚本を読んでもらって、最後に握手してくれて『がんばろう』って言ってもらえ、この映画がここまでこれたのは木下ほうかさんのおかげ」と木下の出演が、大きな支えになったことを明かすと、木下も「小規模の映画で3月から上映が開始され、1年以上上映が続いていて、こんなにでっかいスクリーンで!というか画質大丈夫(笑)」とまたしてもツッコミを入れながら、低予算で作られた小規模映画がシネコンで拡大公開されるヒットになったことを心から喜んだ。
上西監督を紹介され、送ってもらったシナリオが面白かったことから、夜中のファミレスで初対面を果たしたという木下。その場で、「それならやりましょうか」と快諾し、映画ではワンシーンながら強烈な印象を残すヒール役を演じている。最近は感動して泣いてばかりという徳竹らをさりげなくフォローしながら「次もどんどん新作撮れる、それはもっと目立つ役で!」と再タッグをリクエスト。上西監督も「次はラスボス役でがっつり!」と再オファーを誓う一幕も。
いよいよ劇場公開という時にコロナの足音が忍び寄り、緊急事態宣言下で何度も公開延期を余儀なくされ、席数が減らされた中でも常に映画を届けるため、全力で取り組んできたチーム『ひとくず』。上西監督はそんな日々を振り返り、「一旦、コロナで劇場がロックダウンされて、上映が半年間止まっていましたが、10月から大阪で上映が再開できました。こういう状況なので、劇場で舞台挨拶出来るのは本当にありがたいし、最上段までお客さまがおられて感無量です。やっとの思いで東京でロードショーにこぎつけ、万感の思いで今日は本当に一生に残る思い出です。ここまで来れる力を与えていただいて、本当にありがとうございます』と感謝の言葉を重ねた。さらに、「虐待について知って心が壊れ、救いを求めて書いた脚本ですが、非常にたくさんの方が受け取っていただいた。映画が終わればいろんなお言葉をいただけて、その人の人生のそばに置いていただける。僕は役者として意義を持てました」と『ひとくず』がお客様に届いたことの意義を改めて語った。
『ひとくず』サポーターの方々から花束贈呈も行われ、感極まっているキャストたちにツッコミを入れてきた木下も「これちょっと泣きそう・・・ちょっとかっこ悪い・・・」と、ついに本音が飛び出した舞台挨拶。最後は、「『ひとくず』はこんな土砂降りの中でも、走りきれると思うし、コロナの波が終わった後まで走りきる力を持っている映画です。観ていただいて、口コミの方を広げていただいて、たくさんの方にいろんな思いを伝えられるように力添えをお願いいたします。みなさま、誠にありがとうございます』と上西監督が締めくくった。熱い想いを込めてコツコツとお客様に届け続けてきた『ひとくず』。これからもまだまだ多くの人に届いてほしい、熱い思いが詰まったヒューマンドラマだ。
元町映画館では2月27日〜3月5日、京都みなみ会館では3月12日〜4月1日にアンコール上映予定。
0コメント