4月に京阪神で社会を見つめる中村真夕監督の2作品『ワタシの中の彼女』『劇場版 ナオト、いまもひとりっきり』を連続公開。『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』の追悼上映も


 先日、第16回アジアン・ポップアップ・シネマ映画祭で日本人初の功労賞を受賞したことも話題の実力派俳優、菜葉菜主演のオムニバス映画『ワタシの中の彼女』が、4月7日(金)から京都みなみ会館、4月8日(土)から第七藝術劇場と元町映画館で公開される。

 またそれに先立ち福島のドキュメンタリー映画『ナオトひとりっきり』の完結編『劇場版 ナオト、いまもひとりっきり』が、4月1日から第七藝術劇場で公開され、4月8日からシアターセブンにて引き続き上映される。

 さらに、1月に永眠した政治活動家の鈴木邦男氏の半生を追ったドキュメンタリー映画『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』を4月15日(土)から第七藝術劇場で追悼の再上映が行われる。



 3作品の監督を務めるのは、ドキュメンタリーからフィクションまで、現代の社会問題に着目しながら作品を作り続ける中村真夕。右翼活動家でありながら、政治信念の違う人と交流する鈴木氏に密着することで、日本の真の民主主義について考える『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』は、くしくも鈴木氏最初で最後のドキュメンタリー映画となった。違う考えを拒絶し、より対立が煽られる風潮にある今、鈴木氏の対話する姿勢に改めて触れてみてたい。



■菜葉菜主演のオムニバス映画『ワタシの中の彼女』


コロナ禍を生きる様々な世代の女性を一人の俳優・菜葉菜が演じるというユニークなスタイルの4話によるオムニバス映画。占部房子、草野康太共演でリモート飲み会からある真実が浮かび上がる「4人のあいだで」(第1話)は、第16回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映され、見事、JAPAN CUTS Award スペシャル・メンションを受賞しており、劇場公開が心待ちにされていた。

オムニバス映画として公開される本作は、第1話同様、コロナ禍での社会現象を物語に折り込み、第2章「ワタシを見ている誰か」では、井下好井の好井まさおが演じるフードデリバリーのアルバイトと、配達先の女との不思議な交流が、第3章「ゴーストさん」では、渋谷ホームレス殺人事件を彷彿とさせるシチュエーションで、浅田美代子演じる”ゴーストさん”との交流が描かれる。さらに第4話では、中村監督の前作『親密な他人』でも題材となったオレオレ詐欺を再び描き、同作に出演の上村侑が受け子役で登場。通常ではありえない交流が、破滅をもたらすのか、それとも希望の光が灯るのか。ミニマムな設定を最大限に活かし、菜葉菜をはじめとする俳優陣の演技が光る意欲作をぜひ目撃してほしい。


「4人のあいだで」菜 葉 菜 占部房子 草野康太

「ワタシを見ている誰か」菜 葉 菜 好井まさお

「ゴーストさん」菜 葉 菜 浅田美代子

「だましてください、やさしいことばで」菜 葉 菜 上村侑

企画:中村真夕 齋藤浩司

プロデューサー:浅野博貴

撮影監督:辻智彦

録音:菅沼緯馳郎 古谷正志

制作:姫田信也 紫木風太

グレーディング:池田圭

衣装:越中春貴

ヘアメイク:升水彩香

製作/配給:ティー・アーティスト

2022 年/日本/カラー/ステレオ/1:1.78/DCP/69 分



■10年間を見つめ続けた『劇場版 ナオト、いまもひとりっきり』


原発事故による全町避難で無⼈地帯となった福島県富岡町にいまも⼀⼈で暮らすナオトこと松村直登さん。東日本大震災と福島原発事故以来、避難した町民たちから託された牛などを引き取り、動物たちと暮らし続けるナオトの元を中村監督は2013年からひとりで訪れ、その暮らしや変わりゆく富岡町を取り続けてきた。⾼度経済成⻑の裏側でカネに翻弄され続けてきたナオトさんの過去の人生や、原発事故後、⼈の⼈⽣を⾦で解決しようとする不条理、命を簡単に“処分”しようとする理不尽に納得できず今の生き方に至っていることが語られる。

そして2021年震災後10年を迎え、復興五輪と銘打たれた東京オリンピック2020年が開催された年に、一区切りの取材として中村監督はナオトさんに問いかけるのだ。復興という言葉の裏でないがしろにされている命を守ってきたナオトさんの生き方に、ぜひ向き合ってほしい。第34回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部⾨正式招待作品。



出演:松村直登、松村代祐、半⾕信⼀、半⾕トシ⼦、富岡町の動物たち

撮影:中村真⼣、辻智彦

編集:清野英樹

監督:中村真⼣

製作・編集協⼒ ⼭上徹⼆郎

製作・配給:Omphalos Pictures, Siglo

配給・宣伝協⼒:ALFAZBET

(2023年/⽇本/⽇本語/HDV/カラー/106分)