最新作『セノーテ』公開記念、「小田香監督特集2020」10/31よりシネ・ヌーヴォで開催
ぴあフィルムフェスティバルが、世界に挑戦できる次世代の監督を顕彰する第一回「大島渚賞」に輝いた小田香監督。ハンガリーの巨匠、タル・ベーラが創設したファクトリー(映画学校)で学び、卒業制作で初長編作のドキュメンタリー『鉱 ARAGANE』は大阪のシネ・ヌーヴォでの劇場公開をきっかけに、全国公開への道を切り開いていった。その後、シネ・ヌーヴォ20周年の短編ドキュメンタリーを制作するなど、現在も大阪在住の小田監督にとってはホームのようなシネ・ヌーヴォで、いよいよ最新作『セノーテ』が公開される。公開に合わせて、小田監督が2010年から2019年の間に制作した過去作品全9本を上映する「小田香監督特集2020」が同時開催される。
『セノーテ』インタビューでも「ぜひ観てほしい」と力を込めた『ノイズが言うには』は、家族に自分がゲイであることをカミングアウトするセルフドキュメンタリーだ。アメリカの大学でドキュメンタリーを学んでいた時、卒業制作で「あなたがどうしても向き合わなければならない問題があるなら、それを撮りなさい」という先生からのアドバイスを受け実家で自らや家族にキャメラを向けた。「気持ちが先行した作品ではありますが、映画を作ることで(自分のカミングアウトが)家族の中でタブーではなくなりました。タル・ベーラからは『全然詩的ではないけれど、心を打たれた』と評価をいただき、この作品でファクトリーに合格したので、全てのスタートになった作品です」(小田)という必見作。31日の上映後トークには、戸田ひかる監督(『愛と法』)、秦岳志さん(編集者)も登壇予定だ。なら国際映画祭2012NARA-wave(学生映画)部門観客賞受賞作。
他にもサラエボのファクトリーに在学中、ウモリャニというボスニアの村を記録した『呼応』(写真トップ)、ボスニア・ヘルツェゴビナの炭坑やそこで作業をする作業員たちに密着。炭坑にこだわり、穴の中の作業や轟音を全て焼き付ける。余計なナレーションも、字幕も一切ない。まさに突然その場に放り込まれたような衝撃が走る体感型ドキュメンタリー『鉱 ARAGANE』、日本で撮影した私的な映像とファクトリーの授業の中で撮影した未使用のフッテージを使用し、性の問題を抱える人々、国境を越えての対話、貧しさや労働についてなど、力強いカメラワークとともにドキュメンタリー映画の本質を問うパーソナルな作品『あの優しさへ』(写真下)を日本初公開する。
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