細川岳、初の地元大阪舞台挨拶で「僕らみんなの生き様、なんとしてでも作品を広めたい」。内山拓也監督、萩原みのり、森優作からのラブコールも。『佐々木、イン、マイマイン』舞台挨拶。


 King Gnuや平井堅のMVで知られ、初監督作『ヴァニタス』がPFFアワード2016観客賞を受賞の内山拓也監督長編メジャーデビュー作、『佐々木、イン、マイマイン』が、現在絶賛公開中だ。公開3日目の11月29日、大阪ステーションシティシネマで行われた公開記念舞台挨拶では内山監督、本作の企画、共同脚本および主演佐々木役の細川岳、佐々木の高校時代の友人、木村役の森優作、主演悠二の元カノ、ユキ役の萩原みのりが登壇した。

 細川と森は大阪が地元。中でもこの日が初の地元大阪での舞台挨拶だった細川は、最初の挨拶で「ようやく僕が俳優だと言える日が来た、僕を褒めてあげたい」と感無量の面持ちで語ると、自身の青春時代について「高校2年の時、映画に出たいと思い、誰にもバレないように演技レッスンをやりはじめ、進学するかどうか迷っていた。19歳で上京して以来ずっと青春しているんで、別に終わっていないんです」。



■「プロデューサーも決まっていない段階で初稿を見せてもらい、台本が面白かった」(森)

 一方細川と隣町に住んでいたという森は「使っていたバッティングセンターも同じだったんです。違う現場で出会った時に『こんな映画を作りたい』と語ってくれた。参加できてうれしいです」とかねてから構想を相談されていたことを明かし、「大阪でいえば中崎町のような高円寺の喫茶店で内山監督と3人でお茶をし、プロデューサーも決まっていない段階で初稿を見せてもらい、台本が面白いと言った覚えがあります」と映画の出発点となった出会いを振り返った。さらに森は、佐々木や悠二と高校時代を共にする木村を演じるにあたり「四人でいる時間を普段から長く持ちました。佐々木が中心にいるのは当たり前だけど、各々の人生がある中で、佐々木という存在がいることに気づくのが大事。まず木村の生活をきちんと設計した上で、佐々木との距離感を考えていきました」。



■「(藤原)季節や森君、(遊屋)慎太郎が、僕を佐々木だと思ってくれていたからこそ乗っかっていればいいと思えた」(細川)

 細川の高校時代の友人をモデルに作り上げたという佐々木は映画のタイトルになっていることからわかるように、破天荒かつ非常に惹きつけられるキャラクターだ。佐々木を自ら演じた細川は「自分とモデルになった人物があまりにもかけ離れていて、その面白いやつを映画の中で超えなくてはいけない。リハーサルでまだ佐々木に達していないとみんな思っていても(藤原)季節や森君、(遊屋)慎太郎が、僕を佐々木だと思ってくれていた。だから僕はそれに乗っかっていればいいと思い、もっともっとと超えることができたんです」と撮影を振り返った。

 キャスティングも自ら積極的に声をかけたという細川。萩原みのりにも自ら声をかけたといい「僕と萩原さんの二人とも落ちたオーディションで一緒に芝居をして、『私はこうです』という誰にも全然媚びない芝居がめっちゃ好きやなと思いました。萩原さん主演の『お嬢ちゃん』を公開時に観て、ユキ役は萩原みのりがいいと内山に相談したんです」。一方、萩原もオーディションで一目惚れしたと明かし「名前を知らなかったので、その夜眠れないぐらいだった。主演映画を見に来てくださったので、走って追いかけたんです。この役者を知っていたいと思ってから連絡を取るようになり、最初にユキ役をお願いされました。(元彼役の)悠二を季節君が演じると決まった瞬間にスイッチが入りました」。



■「季節君は仕事のスイッチなしで会える人。今まで積み重ねてきた一日一日がちゃんと画にうつれば大丈夫だと信じて臨んだ」(萩原)

 佐々木をめぐる悠二の高校時代の物語と並行して語られるのは、役者になりたいけれどうまくいかず、ユキとも関係が終わっているのに同棲し続けている悠二の現代の物語。萩原にとって藤原は、自身の上京以来の付き合いでお兄ちゃんのような存在だったという。「仕事のスイッチなしで会える人。すごくカッコ悪い瞬間も知っているので、その関係性を信じ、今まで積み重ねてきた一日一日がちゃんと画にうつれば大丈夫だと信じて臨みました」と撮影を振り返った。一方、内山監督については初対面から面倒くさそうな人だという印象を持ったという。さらに「頭を両手で押さえながら、現場で『後悔したくないから』と言い続けている人を初めてみて、変な人だなと思って現場にいました」と、悠二とユキの家でのシーンを撮影中の内山監督の様子を暴露。二人の家でのシーンは、実は一日で撮影されたもので内山監督曰く「あの時が俺の中で一番壮絶な現場でした」。



■「(藤原季節の芝居で)ここまで抑えなければいけないのは初めてではないか」(内山監督)

 演出にこだわりをみせる内山監督。特に悠二を演じた藤原季節は、高校時代の四人組の場面と、現代のユキと二人でいる場面を演じ分けなければならなかった。内山監督は「世界観が圧倒的に違うはずで、藤原季節に対して僕のイメージや主観も入るが、今までのお芝居の中で、ここまで抑えなければいけないのは初めてではないか。ちょっとでも感情的な何かや、わかりやすいものがあると全てNGでした。そうすることで、それでも出てしまうものを見たかったし、ユキとのシーンはより抑えることに注視しました。悠二がどういう背中でいるかユキが絶対に見逃さないように僕が見守っていました」と二人の関係性の変化を見事に捉える名シーンの舞台裏を明かした。

 最後に「この作品が僕の長編デビューで、この作品に出会ってくれてありがとうございます。すごく個人的なことですが、細川岳の両親が来場していると聞いていて、僕を含めて森優作も萩原みのりも岳のことが大好きで、彼のためなら何でもできるというぐらいのすごい俳優だと思っているので、彼の地元に来れたことがすごくうれしいです。その場に来てくれてありがとうございました」(内山監督)

「『佐々木、イン、マイマイン』は僕の28年間生きてきた生き様で、僕らみんなの生き様で、なんとしてでも広めていかなければいけない。友達でも誰でも広めてもらえるとすごく励みになります。俳優としてここに戻ってこれるように映画を作り続けていきますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました」(細川岳)

と挨拶し、余韻が残る青春映画の地元凱旋舞台挨拶を締めくくった。



『佐々木、イン、マイマイン』は大阪ステーションシティシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸他全国公開中



<作品情報>

『佐々木、イン、マイマイン』(2020年 日本 118分)

監督:内山拓也 

脚本:内山拓也、細川岳

出演:藤原季節、細川岳、萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作、小西桜子、河合優実、井口理(King Gnu)、鈴木卓爾、村上虹郎

11月27 日(金)より新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸他全国公開

公式サイト⇒https://sasaki-in-my-mind.com/

(C) 「佐々木、イン、マイマイン」