イエメン初の国内商業公開作品も!イスラーム映画祭6、2/20より東京、5/1より神戸、今春名古屋にて開催決定


 今年で6回目を迎える「イスラーム映画祭6」が、2月20日(土)より渋谷ユーロスペース、今春より名古屋シネマテーク、5月1日(土)より神戸・元町映画館にて開催することが決定した。今年は、東京会場で初の2週間開催を予定するなどさらにパワーアップ!昨年開催した「イスラーム映画祭5」は名古屋会場、神戸会場ともに7月以降に開催が延期され、席数50%制限のもとでの開催を余儀なくされた。現在は緊急事態宣言が発出されたことで、映画館の営業時間が20時までの制限。さらに舞台挨拶を行う際には席数を半減するなどの措置を取らざるをえない状況だ。そんな中、主宰の藤本高之さんは、

「『イスラーム映画祭5』がやはりコロナの影響で大赤字になった事もあり、このコロナ禍が終息するまで開催を見送る事も一時は考えたのですが、こういう時こそあえていつもどおりにやってみるというのも一つの考え方かと思い、『イスラーム映画祭6』を開く事に決めたしだいです」

と開催に踏み切った。


 上映作は日本未公開の7作品を含む10作品に、過去のイスラーム映画祭上映作よりアンコール上映の4作品(名古屋、神戸は2作品)。中でも藤本さんが必見と太鼓判を押すのは、内戦が続くイエメンで作られ、“史上初めてイエメン国内で商業公開された”コメディ映画、『結婚式、10日前』


1989年から2019年まで30年間続いたイスラーム主義政権下、映画産業が衰退したスーダンで史上7番目に作られたという長篇作品『汝は二十歳で死ぬ』

アルメニア系仏人女性とヤジディ教徒のクルド人少女、そして米国帰りのトルコ人青年を中心にした物語で、トルコに唯一残るアルメニア人の村が共生を謳う場所として登場し、テロや紛争の犠牲者に哀悼が捧げられる『私の娘の香り』

NGO職員の母親とともに、子どもの頃から同キャンプを訪れていた経験を持つ作者が、パレスチナ難民70年の歴史を現代パートはクレイアニメ、過去パートは2次元アニメで表現した『ザ・タワー』

刑務所で演劇を通じたドラマセラピーに参加する女性囚たちを描いたドキュメンタリーで、セラピーの様子や彼女たちの言葉からレバノンの男性優位社会が浮かび上がる『シェヘラザードの日記』 

主人公母娘を中心に内戦下の残酷な日常を生きた庶民たち、中でも女性や子どもたちの顔の一つ一つが丁寧に描かれる、泥沼化した1990年代の内戦を題材に、アルジェリア映画で初めて女性監督が製作した作品『ラシーダ』

2000年代に、ドイツのネオナチ・グループが8名のトルコ系移民を殺害したNSU事件の遺族たちを取材したドキュメンタリー『痕跡 NSUナチ・アンダーグラウンドの犠牲者』 

カーブルの路上で物売りをしながら家族を養う、幼くも活発で自己主張の強い少女の生き様を描いた『ミナは歩いてゆく』

多宗教、多民族、多言語のインドを体感する広大な青春ロードムービー『青い空、碧の海、真っ赤な大地』 

仏教国タイにおいて、マレー系のムスリム住民が多く暮らす深南部を舞台にしたロードムービー『孤島の葬列』

がラインナップ。

アンコール上映では 『長い旅』、 『マリアの息子』、 『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール』 『アル・リサーラ/ザ・メッセージ アラブ・バージョン』(いずれも東京のみ)という人気作がラインナップしている。


毎回好評のトークセッションも感染対策徹底のうえリモート(一部リアル)で開催予定。作品の理解を深めると共に、イエメン、スーダン、パレスチナ、アルジェリア、アフガニスタンといった国や地域の現在へとつづく歴史や現状について専門家の方々のお話が聞ける貴重な機会だ。こんな時だからこそ、映画でニュースで見ることのできない世界を知ってほしい。

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