2018.10.25 10:52理解することを諦め、ひたすら感じてほしい。 『スティルライフオブメモリーズ』矢崎仁司監督インタビューエレガンスなピアノの音色と共に、接写で切り取られた植物のモノクロ写真が次々と映る。季節ごとに表情を変える森では、湖面が揺らぐ音や木々を揺らす風の音が聞こえる。そこにポツリと立つアトリエ小屋の中では、カシャ、カシャとフィルムカメラのシャッターを押す音がする。五感を刺激しながら、写真家と、彼に自分のある部位の撮影を依頼する女性、写真家の彼女の...
2018.10.24 13:18『世界で一番ゴッホを描いた男』ひたすらゴッホを真似た男が、ゴッホと向き合う時アートの知らざる世界を覗き込む思いがする『世界で一番ゴッホを描いた男』。インド、繊維工場の過酷労働に肉薄したドキュメンタリー『人間機械』を彷彿とさせるように、狭い作業場では所狭しと描きかけのゴッホの複製画が並び、職人たちは機械作業のように、同じ箇所を次々に色付けしていく。タブレットで本物とタッチや色合いに違いがないかを確かめ、マズい場合は...
2018.10.19 15:14『止められるか、俺たちを』新人助監督の目から描く、若松プロのギラギラした日若松孝二監督逝去から早くも6年が経つが、残された遺伝子たちは、その思いを一本の映画に結実させた。白石和彌監督、井浦新、大西信満、寺島しのぶ、高良健吾、高岡蒼佑ら、若松監督を師と仰ぐ面々に加え、山本浩司、藤原季節、毎熊克哉らが新たに参加。そして群像劇の主役となる、実在した若松プロの若き助監督、吉積めぐみを演じるのは、独特の雰囲気とアンニュイ...
2018.10.17 09:20日本ボクシング界に一石を投じるドキュメンタリー『破天荒ボクサー』、10月20日よりシネ・ヌーヴォで公開2011年、当時JBC(日本ボクシングコミッション)非公認だったWBO(世界ボクシング機構)で世界フェザー級タイトルマッチを日本人初で行ったボクサーがいる。大阪出身のプロボクサー山口賢一だ。JBCのプロボクサーとして国内で試合を行っていた山口が、なぜJBCのプロボクサーライセンスを返上し、海外でプロボクサー生活を続けるに至ったのか。海外で...
2018.10.16 13:02『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』加古川がなんて爽やか!「カメ止め」どんぐりさんも涙した内気女子高生の青春映画加古川が舞台の地域映画ができる、昔通っていた加古川市立図書館でロケをした等、懐かしさとどんな映画なんだろうという好奇心から出来上がるのを楽しみにしていた映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』。昨年末、加古川での上映から時を経て、ようやく大阪・シネヌーヴォで見ることができた。映画24区の『ぼくらのレシピ図鑑シリーズ』第一弾として制作され...
2018.10.09 10:51「見終わってスッキリさせない、傷痕を残すことを常に考えている」 『飢えたライオン』緒方貴臣監督インタビュー(後編)「間違った情報を流すことも暴力性なら、映像を作ることも加虐性をはらんでいる」 『飢えたライオン』緒方貴臣監督インタビュー(前編)に引き続き、 緒方貴臣監督インタビュー(後編)は、『飢えたライオン』や今後の方向性について語っていただいた内容をご紹介したい。
2018.10.09 10:42「間違った情報を流すことも暴力性なら、映像を作ることも加虐性をはらんでいる」 『飢えたライオン』緒方貴臣監督インタビュー(前編)フェイクニュースが溢れ、そのニュースに群がり、拡散する現代社会の空気を映し出す緒方貴臣監督(『子宮に沈める』)が、10月13日(土)よりシネ・リーブル梅田、元町映画館他全国順次公開される。未成年淫行容疑で連行された担任の性的動画が流出し、そこに瞳(松林うらら)が映っているとの噂が流れたことから、瞳の人生が一変し、更なる悲劇が訪れる。デマを...
2018.10.03 12:29『人間機械』インドのワイズマン、繊維工場の過酷労働に肉薄踊るように舞う火の粉。暗闇の中、ローラーから次々と繰り出されるのは、真っ白や、色とりどりの生地だ。すすっぽく暗い工場の中で、生産される生地だけは輝かしく、大きなスクリーンに映える。次々と折り重なる生地の横で、工場の労働者たちは同じ動きを繰り返す。その人間の筋肉の動きと生地のコントラストも鮮やかだ。工場音が鳴り響く中、そこで日々作業を繰り返...