2019.06.05 12:11人生のポジティブな面を捉え、病に対する偏見を払拭したい 『がんと生きる 言葉の処方箋』野澤和之監督インタビュー 「治療無料で、副作用なしだから」と、がん患者との対話の中から言葉の処方箋を出していく順天堂大学名誉教授、樋野興夫先生。その柔らかな語り口と引き出しの多さ、そして未病の者でも心に沁みる言葉がつらい闘病生活を送るがん患者のみなさんの表情をふと明るくする。樋野先生が提唱したがん哲学外来から発展した「がん哲学外来メディカル・カフェ」を...
2019.05.25 15:52台湾、香港、韓国の最新デザイン、本の作り手が語るカルチャー&社会状況、それを切り開いていく道筋@KITAKAGAYA FLEA 2019大阪を拠点にローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行するLLC インセクツが主催のマーケットイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET2019」が今年も北加賀屋の名村造船所跡地/クリエイティブセンター大阪で開催されている。台湾、香港、韓国から多彩な書店が出店しているのが大きな魅力の...
2019.05.25 00:54主演・村上由規乃と二人三脚で作り上げた、観る者が“感じ、紡ぐ”唯一無二のロードムービー 『オーファンズ・ブルース』工藤梨穂監督インタビュー 終わらない夏、どこかアジアの亜熱帯地域のような熱気を感じながら、幼馴染のヤンを探すヒロイン、エマの旅路に、初めてウォン・カーウァイ作品を見たときのような衝撃といつまでも見ていたいという願望が湧き上がるのを抑えられなかった。まさに観る者が“感じ、紡ぐ”唯一無二のロードムービー『オーファンズ・ブルース』が、5月31日(金)からテアトル新宿、6...
2019.05.11 14:30「映画の可能性に挑んだ第一弾が音を絞ることだった」矢崎仁司監督、40年ぶりに蘇ったデビュー作『風たちの午後』を語る『三月のライオン』『ストロベリーショートケイクス』『無伴奏』『スティルライフオブメモリーズ』と痛みを伴う切なる恋愛を、独特の映像美で描いてきた矢崎仁司監督。そのデビュー作で、40年前ながら既に女性が女性を好きになるという従来の枠組みにとらわれない愛の行く末を描いた伝説の名作『風たちの午後』が、長い封印を経てデジタルリマスター版で見事に蘇っ...
2019.05.09 22:53沈没家族は「悪くないよね」〜シングルマザーの思いから始まった共同保育を通して、家族のありようを探るドキュメンタリー映画『沈没家族 劇場版』加納土監督インタビュー 阪神大震災、地下鉄サリン事件と日本の歴史に残る出来事が起きた1995年に、シングルマザーの加納穂子さんが保育人を募集し、その考えのもとに集まった若者や幼い子を抱えた母親と東中野のアパート(沈没ハウス)で共同保育が始まった。沈没家族(当時の政治家が「男女共同参画が進むと日本が沈没する」と発言していたのに腹を立てた穂子さんが命名)での共同生活...
2019.05.01 15:06満席続出の第九市民合唱団ドキュメンタリー『ルートヴィヒに恋して』、5/17姫路、6/8大阪で公開決定!ベートーベンが平和への祈りを込め、晩年に生み出した最高傑作の「第九」を、なぜ日本ではこんなに熱心に年末歌われているのだろうか。しかもプロではなく市民が!?そんな疑問から、第九市民合唱団に密着した神戸在住のキム・ソヨン監督の最新ドキュメンタリー『ルートヴィヒに恋して』。2月に元町映画館で行われた1週間先行上映の際には、連日満席、立ち見の大人...
2019.04.24 23:57名優・渡辺美佐子が日本国憲法を擬人化した「憲法くん」を熱演。ライフワークの原爆朗読劇にも密着した『誰がために憲法はある』井上淳一監督インタビュー 赤木春恵、市原悦子、樹木希林と演技だけでなく、その語りでも魅了してきた大女優が次々とこの世を去る中、日本国憲法を擬人化した「憲法くん」となり、日本国憲法前文を暗唱する名優・渡辺美佐子の凜とした姿を見て、とても嬉しい気持ちになった。そしてそのしっかりとした語りで届けられる日本国憲法の前文をしっかりと胸に刻みたくなるのだ。 お笑い芸人、松元...
2019.04.16 02:16慰安婦問題の深さと広さを感じられるように、包括的なイントロダクション作りを目指して。 『主戦場』ミキ・デザキ監督インタビュー 慰安婦問題を巡る論争は、日韓やアジア諸国だけの問題ではなく、サンフランシスコ市の慰安婦像問題に見られるように、今や海外でも対立する主張がぶつかり合っている。元慰安婦(ハルモニ)たちが長い沈黙を破り、語った証言も、日本で取り上げるメディアはほとんどなく、真にこの問題と向き合っているとは言い難い状況だ。 この慰安婦問...
2019.04.12 15:14安田真奈監督が語る人生と映画づくり(後編)〜電器屋が舞台の『幸福(しあわせ)のスイッチ』、子育て中に執筆した児童虐待がテーマのドラマ「やさしい花」に込めた思い。この春配信のスペシャルドラマ「TUNAガール」では近大の完全養殖マグロの現場に密着し、熱い青春ストーリーを編み上げた安田真奈監督に、自身の人生と映画づくりを振り返っていただいたインタビュー。後編は、電器屋が舞台の『幸福(しあわせ)のスイッチ』、子育て中に執筆した児童虐待がテーマのドラマ「やさしい花」に込めた思いをご紹介したい。(前編はコチ...
2019.04.12 14:39安田真奈監督が語る人生と映画づくり(前編)~「地方出身、女性、異業種」のOL監督時代に確立した自主制作で映画を撮り続けるコツ 奈良出身で関西に拠点を置き、メーカーに勤めながら「OL監督」としてオリジナル脚本で映画を撮り続け、退職後、『幸福(しあわせ)のスイッチ』(2006)でおおさかシネマフェスティバル脚本賞に輝いた安田真奈監督。現在1児の母でもある安田監督は、ドラマ脚本を手掛けてきた他、昨年公開された『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』で11年ぶりに監督復帰...
2019.04.11 13:55『セメントの記憶』復興の現場で生きるシリア移民労働者の日常、過去を体感する。内戦のイメージがあったベイルートだが、もう内戦が終わってから20年が経ち、復興の象徴のような高層ビルが立ち並ぶ都市になっていることを、本作を見て初めて知った。それでもまだ足りないかのように日々超高層ビルの建築が続いているこの街の建築現場で黙々と働いているのが、本作でクローズアップされるシリア移民労働者なのだ。ダイナミックで、美しいとさえ思...
2019.04.10 13:55『ペパーミント・キャンディー』歴史に翻弄された男が、死の間際に帰りたいと願ったあの頃やっと、やっと観ることができたイ・チャンドン監督の『ペパーミント・キャンディ』。『オアシス』をシネピピア恒例の名作選で見て、心を鷲掴みにされ、それからレンタルビデオ屋を探したけれど、前作の『ペパーミント・キャンディ』がみつからなかった。つい最近のような気でいたが、もう15年近く前の話だったのだ。イ・チャンドン監督の最新作『バーニング 劇場...