江口由美

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少女が現実の大人の世界を知るという過程は、一つの旅のようなもの。 『過ぎた春』バイ・シュエ監督インタビュー

『シスターフッド』ドキュメンタリーとフィクションの垣根、時間の垣根を超えて。女性たちは自分を見つめ直し、自分の言葉で社会に問う。

まるでホン・サンスの映画を見ているようなスッキリとしたモノクロの画面に展開するのは、フェミニズムに関する新作の取材に応じるドキュメンタリー映画監督と記者とのやりとり。直前に私自身も取材をしていたので、こういう風に客観的にその光景を眺めると、お互いに「取材をする者」「取材をされる者」として、どこか演技をしているように見え、滑稽だ。しかも女性記者から厳しい意見が寄せられて、少したじろぐあたりなどが妙にリアルで、風刺も効いている。『もうろうをいきる』『わたしの自由について~SEALDs 2015~』の西原孝至監督最新作。ドキュメンタリーとフィクションを融合させたという物語だが、注意深く見ないとわからないぐらい、その垣根がない。同様に2015年から撮影をはじめたという本作は、2016年から2年間中断し、その間に起きた#me too運動への共感を反映させ、2018年新たにフィクション部分を撮影したそうだが、4年間という時間の垣根もない。男性監督が撮る女性という、むしろ女性の私たちが意識しているような垣根すらも超え、ひたすらフラットに、そして今の東京で生きる若い女性の姿を真正面に据え、彼女たちは今思うこと、「女性の生きづらさ」をどう思っているかを語るのだ。

『21世紀の女の子』女の子たちが蒔いた”種”は、未来に繋がる

山戸結希監督(『溺れるナイフ』)が企画・プロデュースした女性監督による短編オムニバス。井樫彩、枝優花、加藤綾佳、坂本ユカリ、首藤凜、竹内里紗、玉川桜、夏都愛未、東佳苗、ふくだももこ、松本花奈、安川有果、山中瑶子、金子由里奈(公募枠)と総勢15名の作品を2時間で堪能できる、まさに事件のような作品だ。女性監督によるオムニバスといえば、思い出されるのは2008年から2013年まで5回に渡って行われた女性監督による短編映画祭「桃まつり」。「真夜中の宴」「kiss!」「うそ」など、毎年決められたテーマのもと、10人前後の女性監督たちが30分ほどの短編を撮り、複数日に渡って上映&トークを繰り広げた。当時、こんなに女性監督がいるのかと驚く一方、メジャー作品を撮るようになる監督の少なさに日本映画界の現状を見る思いだった。桃まつりの衝撃から10年、今回も20〜30代と若手女性監督が勢揃い。しかも既に劇場公開用の長編を発表、または準備中の人も多数だ。そして、参加俳優も橋本愛、朝倉あき、石橋静河、伊藤沙莉、唐田えりか、北浦愛、木下あかり、倉島颯良、黒川芽以、瀧内公美、日南響子、堀春菜、松井玲奈、三浦透子、モトーラ世理奈、山田杏奈と若手ながら既にメジャーで大活躍している人、今まさにブレイク中の人など、期待度の高い魅力的な人材が揃った。そして全国の劇場で上映されていく。観客からしても、女性監督の現在、そして未来を体感するまたとない機会なのだ。

『ノーザン・ソウル』誰も知らないレコードを探せ!70年代イギリス、若者が熱狂した音楽ムーヴメントに迫る青春映画