2020.03.31 05:05『ソン・ランの響き』ベトナム伝統芸能を織り交ぜ描く”魂の共鳴” 影のあるワイルド系男子と、目鼻立ちの美しい男子。窓辺で思いを馳せる二人を結びつけたのは、カイルオンと呼ばれるベトナム大衆演劇だった。 カイルオンは、南部民謡を取り入れたベトナム版オペラで、今は消えゆく運命にあるという。本作は、サイゴン(現ホーチミン)生まれで、カイルオンを愛してやまないというレオン・レ監督の長編初監督作。ベトナム芸能界...
2020.03.22 22:27繊細な映像で綴る、母の故郷、台湾・高雄で23年ぶりに再会した兄弟の心模様 『燕 Yan』今村圭佑監督、水間ロン、山中崇インタビュー 日本アカデミー賞受賞作『新聞記者』(藤井道人監督)や『ホットギミック ガールミーツボーイ』(山戸結希監督)の撮影で今最も注目されているキャメラマン、今村圭佑の初長編監督作、『燕 Yan』(2020年6月5日劇場公開)が、第15回大阪アジアン映画祭で、特別招待作品部門作として日本初上映された。<物語> 燕を中国語で「イエンイエン(燕燕)」...
2020.03.22 11:12『淪落の人』立場も境遇も違う二人が夢を追いかけた、輝く一年 事故で半身不随の障害を抱えながら、孤独に生きる老人と、貧しさゆえに夢を諦め、住み込みのお手伝い業で本国の家族に仕送りをするフィリピン人の女性。それぞれ人生の先が見えないどん底にいた二人だが、人と人が少しずつでも歩み寄り、相手のことに関心を持つようになることで、少しずつ日々の生活が輝き出す。地道な日常のエピソードを積み重ね、二人がお互いを...
2020.03.22 07:43『東京不穏詩』剥き出しの感情が自然の中で昇華する いきなり傷だらけでうごめく顔の女性が映り、ただならぬ気配を感じさせる。夢を持つ人たちがうごめく街、東京で、夢を掴むため、男たちを相手にするアルバイトをし、お金を貯めて、女優としての成功を目指すジュン。同じクラブで働く恋人、タカの差し向けた男が、ジュンの家に押し入り、強盗中に鉢合わせたジュンの顔に大怪我を負わせ、金を持って逃げてしまう。受...
2020.03.22 06:02『春潮』中国激動の半世紀を三世代の女性に重ねて描く、ヤン・リーナー監督の真骨頂 三世代の女性を描いた作品といえば、大阪アジアン映画祭2018で、台湾のヤン・ヤーチェ監督作『血観音』がまず思い浮かんだ。ヤン・ヤーチェ監督にインタビューさせていただいた時、「母が娘を束縛する姿に、政府が国民をコントロールする姿を重ねた」という言葉が非常に印象的だったが、今年の大阪アジアン映画祭で上映されたヤン・リーナー(楊荔鈉)監督が三...
2020.03.21 12:29被害者に終わらせない。女性監督が描くMeToo〜『家に帰る道』『女と銃』『蒲田前奏曲』@第15回大阪アジアン映画祭 この3月に開催された第15回大阪アジアン映画祭では、様々な社会的テーマを内包した作品の中でも、女性監督がMeToo問題を描く作品に、とりわけ感銘を受けた。手法は様々だが、一つ共通して言えるのは、一般的に生涯忘れることのできない傷を負った被害者として描かれがちな女性たちが、被害者では終わらず、その先の姿が描かれていることだ。彼女たちの心の...
2020.03.18 07:45寡黙な純潔男が圧倒的な存在感を放つ、大人の異色ラブストーリー 『写真の女』串田壮史監督インタビュー 第15回大阪アジアン映画祭で、インディ・フォーラム部門の串田壮史監督作『写真の女』が世界初上映された。 主人公は、親の写真屋を継ぎ、画像加工やレタッチを行う一人暮らしの械(永井秀樹)。家で飼っているカマキリに愛情を注ぎ、休日に山で昆虫の写真を撮るのが好きな寡黙な男が、木の上で流血している女、キョウコ(大滝樹)に出...
2020.03.17 12:59生まれ育った街の金都商場を舞台に描く、結婚とは?自由とは? 『私のプリンス・エドワード』ノリス・ウォン監督インタビュー 第15回大阪アジアン映画祭で、コンペティション部門|Special Focus on Hong Kong 2020のノリス・ウォン監督作『私のプリンス・エドワード』が日本初上映された。 舞台は、香港でウエディング関係のものなら何でも揃う商業ビル、金都商場。そのレンタル衣装店で働くフォンは、同じビルのウェディングムービー製作会社で勤めるウ...
2020.03.16 13:32「映画を通してインターセックスの人のことを知ってもらいたい」 『メタモルフォシス』ホセ・エンリーケ・ティグラオ監督インタビュー 第15回大阪アジアン映画祭で、特集企画《ニューアクション! サウスイースト》のホセ・エンリーケ・ティグラオ監督作『メタモルフォシス』が海外初上映された。 男子として生きてきた牧師の息子、アダム(ゴールド・アゼロン)。生理が来たことでアダム自身も家族も、彼が男性器と女性器の両方を持つインターセックスであることに気づく。二つの性の間で揺れる...
2020.03.16 09:29女子高生と後ろ向きに歩く男が、モノクロの世界で織りなす壮大な映像詩。 『コントラ』アンシュル・チョウハン監督、円井わん、間瀬英正インタビュー 円井わんスタイリスト:石垣陽輔(GAKKY) 第15回大阪アジアン映画祭で、コンペティション部門のアンシュル・チョウハン監督作『コントラ』がアジア初上映され、主演の間瀬英正が見事、最優秀男優賞を受賞した。アンシュル・チョウハン監督の長編デビュー作『東京不穏詩』(OAFF2018)で、主演の飯島珠奈が最優秀女優賞を受賞したのに続く快挙だ...
2020.03.16 05:34台湾版『ブエノスアイレス』に込めた、LGBTQが認められるまでの歴史。 『君の心に刻んだ名前』リウ・クァンフイ監督インタビュー 第15回大阪アジアン映画祭で、コンペティション部門のリウ・クァンフイ監督作『君の心に刻んだ名前』が世界初上映され、現代パートの主人公アハンを演じたレオン・ダイが見事、薬師真珠賞(上映されたすべての作品の出演者を対象に、薬師真珠が最も輝きを放っていると評価した俳優に授与)に輝いた。受賞理由:主人公青年の中年時代を、繊細さと緻密にコントロー...
2020.03.12 22:33是枝監督に学んだ新鋭が福田麻由子主演で綴る、離れて暮らす父への思い 『グッドバイ』宮崎彩監督インタビュー 第15回大阪アジアン映画祭で、インディ・フォーラム部門作品として世界初上映された宮崎彩監督作『グッドバイ』が、4月16日(金)から出町座、4月17日(土)からシネ・ヌーヴォにて公開される。 早稲田大学在学中、映像制作実習で是枝裕和監督の指導を受け監督作『よごと』を制作した宮崎監督。自らの長編デビュー作となる『グッドバイ』では、NHK連続...